船主必見 香港法人・ノミニーを活用する香港籍船舶

香港は、MTL、COSCO 、DPI等の世界有数の大手船舶会社が所在地を置くアジアの海運・船舶管理の拠点です。大手船舶会社の同様に、香港籍船舶を所有することで、傭船料や賃料が課税対象外とすることができ、銀行からも融資を受け易くなる傾向があります。本稿では、香港法人登記、船舶登録、税務、ファイナンスについて説明します。

香港法人・ノミニーを活用する香港籍船舶〜法人登記

香港籍船舶(Merchant Shippingもしくは商船)を所有するには、まず香港法人(Special Purpose Company もしくはSPC)を設立する必要があります。以前は、所謂シェルフカンパニーが香港でも多く存在しましたが、2018年にアンチマネロン法(香港法第615章Anti-Money Laundering and Counter-Terrorist Financing Ordinance)の改正(「改正法」)により、香港居民の選任代理人(Designated Representative)を選任することが条件となり、実質的にシェルフカンパニー不可になりました。

しかしながら、香港の法人設立は非常に簡単で、コロナの影響を受け法人登記所(Companies Registry)の オンライン登記はさらに進化し、(関連書類は後日提出するものの)1時間以内で法人設立が完了し、サービス費用は15万円、資本金HK$1で可能です。

香港法人・ノミニーを活用する香港籍船舶〜船舶登録

商船登録法(香港法第415章Merchant Shipping (Registration) Ordinance)によると、原則、船舶登録(Registrable Ship) は香港居民(商船登録法上、適格者(Qualified Person)と定義) が50%以上の株式を所有する必要があるとします。Visence Professional Services Limited のような専門業者をノミニー(名義人株主)として選任されれば、この要件を乗り越えられます。ノミニー制度は合法的で、英国法を継受した香港では日常的に行われています。

船舶登録や抵当権設定(Mortgage) は、海運局(Marine Department)に行われ、オンラインでも登録が可能で、低廉登録税に加え書類不備がなければ即日登録が完了します。所定のフォーム(RS/D3等)、Certificate of Survey やBill of Saleが必要なります。

香港法人・ノミニーを活用する香港籍船舶〜税務的なメリット

香港は源泉徴収地国課税制度であることから、傭船料や運賃などの収入が香港域外で発生すれば、香港の税務対象にはなりません。また、中国船舶とみなされるため、中国本土の港税において優遇されます。

香港法人・ノミニーを活用する香港籍船舶〜ファイナンスについて

香港籍船舶は、パナマ籍船舶のように、便宜地籍船舶(Vessel Flag of Convenience)ではなく、香港域内に経営基盤があることが必要とされます(前述のノミニー制度を活用することで達成可能です)。また、マネーロンダリング対策等に関する国際的協調指導組織でFATFには、2019年のレポートにおいて香港の反資金洗浄対策は称賛されホワイトリスト化されました。日本の金融機関にとっても、香港法人・香港籍船籍に融資検討する際にプラスな材料になると考えます。

香港の司法制度は安定し、法律も英国法を継受したため分かり易くのが特徴です。また、日本に近いため、何かあれば、香港に行き弁護士に相談することも可能です。香港籍船舶の担保権を執行することになった場合、香港弁護士を雇い意見を述べることもあり大いに期待できます。

シップファイナンススキーム