香港 アセットマネージメント事業に係わる規制について (その1)

香港は世界有数の国際金融機関が拠点をおき、ファミリーオフィスやウェルスマネージメントビジネスを始めやすい国際金融都市として知られます。

しかし、ファンドなどのアセットマネージメント事業を行うには、関連規制を理解する必要があります。本書では、どのような場合ライセンスが必要となるのか、また一般的に使用されるファンドストラクチャーについてご説明いたします。

「証券」(Securities)とは

まず、出発点として、扱う商品により規制が異なるため、関連規制について整理します。


Securities and Futures Ordinance(「香港証券先物法」香港法第571章)Schedule 5、Part 2にて、「Asset Management (Type 9)」(資産運用業)の定義は以下の通りです。

  • 「不動産投資スキームに係わる資産運用」(所謂Collective Investment Scheme もしくREIT)或るは
  •  「証券・先物契約に係わる資産運用」

上記(a)もしくは(b)に該当する場合、Securities and Futures Commission  (「SFC」繁体字名 證券及期貨事務監察委員會)よりType 9というライセンスを取得する必要があります。

それでは、「証券」とはなんでしょうか? 香港証券先物法Schedule 1、Part 1において「Securities」は、(要約すると)上場・非上場問わず法人・組合 (Partnership /Limited Partnership)の株式、債券(Debenture) と定義しています。後述の通り、ファンド持分は株式もしくは組合持分になります。

では、暗号通貨は証券に該当するのでしょうか? もし、暗号通貨が証券に該当するのであれば、暗号通貨のアセットマネージメント事業はType 9ライセンスを取得する必要があるのでしょうか? 

現在のところ、香港並びにシンガポールを含む英国法(Commonwealth)圏にて、「証券」法理を説明する有力な判例がないため、米国の判例Howey( 328 U.S. 293 (1946))を基礎として、「Investment Contract(投資契約)」であるのかを分析するのが一般的です(Howey Test)。 米国では、Howey Testに基づき、米国SECから見解や訴訟にて、中央集権型(Centralized)の暗号通貨 もしくはセキュリティートークン(Security Token)は、「証券」と位置付けるのが定説となっています。また、米国以外の国々では、セキュリティートークンは間違いなく、証券となります。従いまして、セキュリティートークン以外は、証券に非該当なため、暗号通貨を扱うアセットマネージメント事業はSFCの管轄下にありません(SFCには監督する権限はありません)。言い換えれば、もし、暗号通貨事業にてSFC Type 9を取得することを希望されるのであれば、最低限1つのセキュリティートークンに関連するプロダクトもしくはファンドを組みこむ必要があります。

ファンドの募集・私募

それでは、組成されたファンドの販売方法と販売に関する規制についてご説明いたします。

組成されてファンドは証券に該当するため、不特定多数の投資家に販売(募集もしくはPublic Offering)するには、ファンドを上場する必要があります。上場するのは香港でなくても、どの国の取引所でも構いません。(非上場の不動産投資スキームの場合は、SFC登録)。

しかし、例外として、私募(Private Offering)があります。私募には明確なルールはないため慣例として、広告を禁止したり、免責条項を付記したり様々なコンプライアンスルールを順守する必要があります。そのルールを厳守しつつ、販売行為が適格機関投資家のみもしくは50人の投資家(1投資家500万香港ドル以内)に限定された場合、(上場してなくても)ファンドを香港投資家に対して販売することが可能です。上場には膨大な費用と時間がかかりますので、私募を活用することで効率的に資金調達することが可能です。

【要約】

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