香港SFCマネロン対策の強化

香港証券当局SFCは、今年9月、マネロン対策強化を目的としえ、AML ガイドラインの改定案を発表しました。2018年、国際マネロン対策機関FATFが、Cross-Border Banking Relationship (国境を超える銀行取引)がマネロンの温床になっているという声明を発表したことを受け、米国、英国、シンガポールの金融当局は強化してきました。

同じタイミングで、2012年以降香港HSBC銀行がマネロン事件を見逃していたという報道があり、香港金融当局は敏感になっています。改正案のコアとなる Cross-Border Correspondent Relationship(国境を超える金融取引関係)とThird Party Deposits and Payments(第三者入金及び出金)問題についてご紹介します。

1)Cross-Border Correspondent Relationship

想定する取引として、香港外の証券会社 (「Respondent Bank」といいます)は Correspondent Bank(SFC証券ライセンスを持つ金融機関)に対してオーダーします。オーダーを受けたCorrespondent Bankは、取引所にて自ら約定するか、他のブローカーに転送(Routing)します。FATFが問題視している点は、最終顧客の本人確認はRespondent Bankのみが行っていて、Correspondent Bank側において適切なAMLリスクアセスメントができていないという現状です。また、AML法制度が各国で違うためRespondent Bankのリスクアセスメントに依拠することにはリスクがあると考えています。

従来、対金融機関の本人確認はSimplified Due Diligence が採用され、簡素なリスクアセスメントが行われていましたが、今後は金融機関相手でも通常の顧客と同様のリスクアセスメントが必要になります。結果、AML・KYCの作業負荷が増えることとなります。

2) Third Party Deposits and Payments (第三者からの入金、第三者への出金)

問題視されているシナリオは、以下2つのパターンです。

a) 証券会社が管理する顧客口座に第三者から入金する (Third Party Deposit)
b) 顧客指示による第三者への送金 (Third Party Payment)

昨年のSFC通達(Circular)によると、証券会社がThird Party Deposit とPaymentのリクエストを受けた場合、拒絶するのが基本方針です。例外適用として、Third Party Deposit やPaymentに至った経緯等について社内審査を行い、且つ、ハイリスク扱いとしてモニタリングすることとなりました。実際、通達違反として、今年6月、中堅証券会社の国泰君安証券(Guotai Junan Securities) に対して200万香港ドル(3000万円)の罰金が科せらました。

https://apps.sfc.hk/edistributionWeb/gateway/EN/circular/intermediaries/supervision/doc?refNo=19EC39

改正案では、上記Circular を踏襲しつつ「原則、送金元・送金先のAMLリスクアセスメントは取引開始前に完了する」という条件が加わり、AML審査は一層厳しくなります。

3)証券会社内部管理・監査の強化

改定案では以下の内部統制の強化を求めています
a) 独立したAML Audit 機能の設置
b) AML監査は2年に1回実施
c) Compliance Officer やAML Officer の権限拡充
d) 従業員取引のAMLリスクアセスメントの強化
パブリックコメント期間が12月末に終了し、来年夏ごろまでに改訂版AMLガイドラインは施行される予定です。