会計・税務

香港のAnnual Return(年次報告書)とは【提出義務あり】

香港法人に求められるAnnual Returnって何だろう?

これは義務なのかな、申告期限はあるのかな?

だれかサポートしてくれるの?

他の会社のAnnual Returnも見れるのかな?

書いている私は香港公認会計士として10年以上の経験があります。Annual Return(年次報告書)は香港独自のシステムで、日本から駐在で来た人や香港で会社設立した人から必ず聞かれるポイントでもあります。今日はわかりやすくまとめました。

香港のAnnual Return(年次報告書)とは

Annual Return(年次報告書)とは香港政府の会社登記所(Company Registry)に登記される企業の基本情報を記した書類です。おもに下記情報について英語もしくは中国で、毎年会社設立記念日の42日以内に報告する必要があります(例:4月1日設立の場合は5月12日まで)。

主な記載内容

  • 会社の住所
  • 株主(住所、保有株数等の情報)
  • 取締役(住所等の情報)
  • 会社秘書役
  • 登録抵当
  • 発行株式
  • 会社秘書役
  • 会社E-mailアドレス

報告に必要な書式については、以下のアドレスから入手が可能です。

https://www.cr.gov.hk/en/forms/specified.htm

ここでは、Annual Returnの他に、取締役の変更など、会社運営上の重要な変更の報告をするための書類が準備されています。取締役の変更等、基本情報に変更がある場合は変更届を会社登記所(Company Registry)に決められた期限内に報告し、Annual Returnでは基本情報全体の最新状況を報告することになります。

Annual Return(年次報告書)の見本

Annual Return(年次報告書)の報告実務

上場や非上場、企業規模に関わらず、全ての香港にある法人に報告義務があります。

Annual Returnは物理的報告(ハードコピー)もしくは電子的報告(ソフトコピー)によって報告ができます。

ハードコピーの場合は規定フォームに必要事項を記入し、Company Registry(14th floor, Queensway Government Offices, 66 Queensway, Hong Kong)に、HKD(香港ドル)105のチェックとともに送付する必要があります。

報告を遅延した場合は、遅延日数に応じて登記料が増額し、HKD870〜HKD3,480になりますので留意が必要です。具体的には以下のようになります。

報告を遅延した場合の登記料

遅延期間 単位:香港ドル(HKD)
42日以降から3か月以内 870
3か月以降から6か月以内 1,740
6か月以降から9か月以内 2,610
9か月以降 3,480

また遅延報告については上記の登記料の増額以外に、会社条例違反により最高HKD50,000の罰金が課される可能性がありますので留意が必要です。

ソフトコピーの場合は、e-registry https://www.eregistry.gov.hk/icris-ext/apps/por01a/index?m=nを通じて、報告可能ですが、予め登録が必要になるのでご注意下さい。

Annual Return(年次報告書)の作成と利用

香港では、取締役会・株主総会議事録の作成、株主登録や会社基本情報の更新といった法定書類を担当する会社秘書役という役職が会社条例により特別に規定されています。

この会社秘書役は、香港居住者であればだれでも従事することができますが、専門性が高いため、基本的には香港公認会計士や勅許会社秘書役等の専門家に会社秘書役業務を委託することになります。

企業調査にも役立つAnnual Return(年次報告書)や信用確認に役立つサイト

香港の会社登記所のAnnual Return申請ページ

香港の会計監査では、Annual Returnの確認は必須の手続きです。Annual Returnには取締役の情報以外に、会社の登録抵当といった財務諸表に影響のある情報が盛りだくさんです。

実は、https://www.cr.gov.hk/en/electronic/search.htmで、所定の金額を支払うことで香港で登記されているすべての会社のAnnual Returnを確認することができ、重要株主・取締役や、新株発行といった会社情報を閲覧することが可能です。これは日本の不動産登記情報のウェブ閲覧と同様の機能になります。

さらに、金額は香港より高くなりますが、British Virgin Island (BVI) やケイマン諸島登記企業についても会社情報を閲覧できます。

その他、http://www.legalsearch.com.hk/services.aspのようなサイトでは、香港会社のLegal Searchを提供しており、現在進行中の民事・刑事訴訟や仲裁事案を確認できますので、取引先の信用確認等にも利用される企業があります。

もし、Annual Returnに関する質問や会計・会社秘書役の専門家の知り合いがいない場合ご紹介することも可能ですので、お問い合わせください