【香港税務アップデート】研究開発は損金算入が寛大な香港で!

香港の公認会計士のケンです。今日は香港の立法府で議論されている研究開発費の実際かかった金額の3倍を損金算入できる修正税務条例をご説明します。

研究開発(R&D)は損金算入

香港では、要件を満たした研究開発費は発生年度において、全額損金算入が認められています。それに加え、より厳しい要件を満たした研究開発費については、最大で実際に要した費用の300%(3倍)を損金算入することを認める、修正税務条例が2018年5月4日から立法会(香港の立法府)で審議入りし、可決されれば2018年4月1日以降の研究開発費に遡及的に適用されます。

香港での研究開発費の損金算入

Type A Type B
損金算入額 100% 最初の200万香港ドル:300%
それ以降:200%
研究開発活動 ・自然や科学分野の知識を拡大させる活動
・科学や技術に関する新たな知識を獲得するための研究
・新しい商品、プロセスやサービスへの研究成果の適用
フィーサビリティースタディ、市場・ビジネス・マネージメントに関する分析 左記は含まれない
研究開発活動の場所 香港内外 香港内のみ
研究開発費用(社内) 資本性の支出も含めた研究開発費(Type B以外の支出) 研究開発に係る直接人件費
研究開発に係る直接消耗品費
研究開発費用(社外) 香港の適格研究団体
適格研究団体に指定されていない大学等 左記は含まれない
損金不算入項目 ・研究開発活動に関する権利獲得のための支出
・土地や建物への支出
・政府やその他から支援された研究開発費用
・研究開発費用の損金算入だけを目的とした支出

上記の表は、従来の研究開発費用をType A、新たに修正条例で追加規定された研究開発費をType Bとして、それぞれにつき損金算入額とその要件をまとめたものです。

新たに提案されたType Bは、香港内での研究開発を促進し、国際競争力を高めることを目的に、香港内で発生した研究開発に係る直接人件費・消耗品費に支出を限定することで、最大で実際に要した費用の300%(3倍)を損金算入することを認める制度になっています。

香港居住者にはお得なFX取引(金融取引)の利益に係る税金

香港公認会計士のケンです。今日は香港におけるFXの利益にかかる税金について解説します。

香港税制とFXの利益に関する税金

香港の税制の特徴は、下記の3点になります。

  • 低税率
  • 源泉地主義
  • キャピタルゲイン非課税

この特徴については以下の記事で詳しくまとめています。よければご参照ください。

https://startuphk.jp/profits-tax/

金融取引についても、上記の3点が適用されるため、金融取引が事業ではない場合はキャピタルゲインとなり非課税になります。

反対に、事業と認定されその源泉地(取引地)が香港であるとしても税率は16.5%もしくは15%ですので、低税率の恩恵を享受することができます。

居住ステータスで変わるFXの利益にかかる税金

個人と法人で、日本との関わりにより、香港でのFX取引を含めた金融取引に係る香港と日本の税金をまとめてみました。

個人:(香港居住者) 香港法人:
(日本法人との資本関係なし)
個人:(日本居住者) 香港法人:
(日本法人の子会社)
金融取引所得
例:FX、株式
香港:課税なし
日本:課税なし
(香港居住者はキャピタルゲイン非課税)
香港:課税なし
日本:課税なし
(香港法人はキャピタルゲイン非課税)
事業は非金融事業
香港:課税なし
日本:課税あり
(日本居住者は全世界課税)
香港:課税なし
日本:課税あり
(日本法人の所得と合算)事業は非金融事業を専らとし、日本のタックスヘイブン税制適用除外会社

個人・法人とも税務上日本との関わりがない場合、金融取引の利益は日本・香港とも非課税です。

FXや株式の金融取引を事業としていないため、事業でない取引から稼得される利益はキャピタルゲインとなり香港で非課税になります。ただし損失が出た場合でも繰越欠損金にはならないので留意が必要です。

また仮に、大掛かりなITシステムや会社と同様の機構を導入し、膨大な数の金融取引をシステマティックに行い事業とみなされた場合でも、日本の法人税率より低い16.5%(法人)、15%(個人事業)の税率が適用され、損失は欠損金に繰り入れられます。

一方、個人・法人とも税務上日本と関わりあるケースでは、個人の日本居住者であれば、例えば、香港の金融機関のオンライン取引を通じて利益を稼得すると、香港での取り扱いは上記の香港居住者と変わりませんが、日本で課税されます。これは個人の日本居住者(日本人のような永住者)に対して、日本は全世界課税を適用しているためです。

株式20%(所得税15%・住民税5%)の申告分離課税、FXについては総合課税で雑所得に分類され他の所得と合算され累進課税が適用されます。

一方、日本国内FXの場合でしたら20%の申告分離課税ですが、海外FXの場合は雑所得に分類され、所得に応じた税率が適用されることに留意が必要です。

日本法人の子会社である香港法人は、香港での取り扱いは上記の香港法人と変わりませんが、個人の日本居住者と同様、日本で課税されます。平成29年度の税制改正により、例え香港法人に実体があり、日本のタックスヘイブン税制適用除外を受けていても、事業とは関わりのない金融取引(FXや株式)の利益は受動的所得として、日本法人の所得と合算して法人税が課されるためです。

というわけで、個人の香港居住者はFXでもキャピタルゲイン非課税の恩恵を受けることがおわかりいただけたかと思います。もしご質問などあればお気軽にお問い合わせ下さいね!

【香港税務】ロイヤルティにかかる税金は特別扱い

こんにちは。私は香港の公認会計士として10年以上働いています。

日本法人が有する知的財産(特許権・意匠権・商標権・著作権・製造ノウハウ等)の香港での使用の対価として、香港法人から日本法人へロイヤルティを支払うことがあります。

このロイヤルティについては、受取人である日本法人の香港での事業実態により、ロイヤルティ額の16.5%もしくは4.95%が日本法人に課され、香港法人が日本法人の代わりに納付します。

香港におけるロイヤルティ収入の取り扱い

ロイヤルティとは特定の権利を利用する利用者が、権利を持つ者に支払う対価のことで、特定の権利には特許権意匠権商標権著作権製造ノウハウ等の知的財産権が含まれます。

一方、香港の税金は所得に対し源泉地主義が採用されており、香港源泉の所得のみ香港で課税されますので、香港で事業を行っていない日本法人が保有する知的財産から生じるロイヤルティ収入は、その源泉が香港外(日本)にあるため、厳密には香港では課税されないことになりますが、Section15(1)(a), (b)及び(ba)により所得と規定することで課税を行っています

源泉地主義については以下も読んでみてください!

https://startuphk.jp/profits-tax/

通常、非居住者である日本法人が香港の使用者から受け取るロイヤルティは、そのうちの30%を所得とみなし、30% × 16.5%(2017/18) = 4.95%が受取額に対し課税されます。

しかし、株式の過半数保有による支配関係や同一の者に支配されている会社同士というような関連当事者間のロイヤルティに関しては、過去において香港内で対象無形資産の全部または一部を保有していた場合、受取ロイヤルティの全額(100%)がみなし所得とされます。

この場合、受取人が法人であれば100%×16.5%=16.5%が受取金額に課税されます。これは、香港で生成した無形資産をタックスヘイブンで設立された関連法人に譲渡し、みなし所得を30%とする租税回避行為を防止するためです。

またこのみなし所得30%の措置は、非居住者のみに適用されれるため、仮に日本法人が香港にPermanent Establishment(関連記事:日本・香港PE)を有し事業を行っている場合は香港源泉所得をみなされ、受取ロイヤルティの全額(100%)がみなし所得となるので留意が必要です。

日本・香港のPermanent Establishment(PE)は以下で説明しています。

https://startuphk.jp/pe-hkjp/

香港法人から日本法人支払われるロイヤルティの課税

日本法人が香港にPEを有さない場合は、現実的には税金の徴収が難しいため、香港法人がロイヤルティの支払の際に税額相当分を留保し、受取人である日本法人に代わり納税する形で、ロイヤルティの支払者(香港法人)に対して納税義務を課しています。

具体的には香港法人の事業所得税の申告に併せ、日本法人のみなし課税所得をIRDに申告します。IRDはその申告に基づき、香港法人に対し日本法人のための申告書を発行し、香港法人が申告書を提出した後、IRDが賦課通知書を発行し、最終的に香港法人が支払留保分を納付します。

日本・香港租税条約に基づくロイヤルティの制限税率

みなし所得 香港租税条例 日本・香港租税条約
100% 16.5% 5%
30% 4.95% 4.95%

日本・香港間では租税条約が締結されているため、香港租税条例より租税条約が優先して適用されますが、香港租税条例が租税条約の税率より低い場合、香港租税条例が適用されます。

日本法人は、受取ロイヤルティを課税所得に算入し、日本で法人税を申告・納付することになるため、 香港でのロイヤルティ税との二重課税が生じます。その二重課税を回避するためには、日本法人の法人税申告に際し、外国税額控除を申請します。ただし香港の国内法の税率によって課税を受け、租税条約の限度税率を超える部分には、外国税額控除の適用は認められません(法人税法施行令142の2⑧五)。

最後の方、少し複雑になりましたが理解いただけましたか?なにかご質問などあれば、お気軽にご質問下さいね。

【香港税務】従業員の給与所得の申告に関し雇用主が果たすべき義務とは

こんにちは。私は香港公認会計士です。

香港の給与所得税は香港源泉の個人の給与に課税される税金になり、その税金申告には、個人のもさることながら、個人を雇用する雇用主にも支払給与に関する申告義務があることに留意が必要です。今日は雇用主の申告義務について解説します。見逃しがちな分野ですが、しっかりチェックしてくださいね!

なお、個人の申告義務につきましては、(関連記事:給与所得税)を参照下さい。

https://startuphk.jp/salaries-tax/

香港の給与所得にかかる雇用主義務とは

ずばり、これが社員の給与所得にかかわる雇用主義務一覧となります。

租税条例 義務 罰則
Section 52(2) Employer’s returnの期日までの提出
Level 3罰金及び裁判所命令
Section 52(4) IRDに対し、雇用日から3ヵ月以内に、文書での新規雇用者の通知 Level 3罰金及び裁判所命令
Section 52(5) IRDに対し、従業員離職日の1ヵ月前に文書での雇用契約終了の通知 Level 3罰金及び裁判所命令
Section 52(6)
1ヵ月以上香港を離れる従業員の離港日1ヵ月前に文書での通知 Level 3罰金及び裁判所命令
Section 52(7) Section 52(6)に基づく文書提出日から、香港を離れる従業員の1ヵ月間給与の支払留保 Level 3罰金及び裁判所命令

ではそれぞれ「義務」内容を確認していきましょう。

Employer’s returnの期日までの提出

給与所得税上の課税年度(つまり4月1日から翌年3月31日)の各役員・従業員への支払給与・賞与・会社負担住宅費・税金及び年金払込額等につき、雇用主はIRDの発行する申告用紙の発行日から1ヵ月以内にIRDに提出する必要があります。IRDはこの雇用主からの申告書と従業員個人からの申告書を併せて精査するので、申告内容の整合性に留意が必要です。
(申告用紙:BIR56A及びIR56B)

IRDに対し、雇用日から3ヵ月以内に、文書での新規雇用者通知

雇用主が、新規に役員・従業員を香港で雇用を開始し、かつ給与所得税の課税対象があると見込まれる場合、雇用開始後3ヵ月以内に、その個人の氏名・住所・雇用開始日及び雇用条件をIRDに通知する必要があります。一方、新規に雇用された役員・従業員が専ら香港外で役務を提供し給与所得税が課されないと見込まれる場合は、通知は必要ありません。
(申告用紙: IR56E)

IRDに対し、従業員離職日の1ヵ月超前に文書での雇用契約終了の通知

退職を予定する役員・従業員の雇用最終日から1ヵ月前までに、氏名・住所・雇用終了日等を通知する必要があります。
(申告用紙: IR56F)

一か月を超えて香港を離れる従業員の離港日1ヵ月前に文書での通知

Section 52(6)に基づく文書提出日から、香港を離れる従業員の1ヵ月給与の支払留保
海外出張を除き、役員・従業員が1ヵ月以上香港から出国を予定している場合、出国予定日の1ヵ月前までに通知する必要があります。また当該役員・従業員が給与所得税の未納がある場合は、IRDの発行するいわゆるクリアランスレターがない限り、雇用主は通知書の提出から1ヵ月間の給与支払を留保しなければなりません。
(申告用紙: IR56G)

租税条例の罰金

罰金 Level
HK$1~HK$2,000 Level 1
HK$2,001~HK$5,000 Level 2
HK$5,001~HK$10,000 Level 3
HK$10,001~HK$25,000 Level 4
HK$25,001~HK$50,000 Level 5
HK$50,001~HK$100,000 Level 6

上表は租税条例が定める、レベル毎の罰金額になります。

給与所得に係る雇用主義務違反に対する、罰金はLevel 3となっておりますが、実務上はよほどひどい違反でない限りは、厳格には執行されていない印象です。

以上となります。給与所得というと、社員のことばかり考えがちですが、雇用主が申告しなくてはいけない義務があることがわかりましたでしょうか。なにかわからないことがあれば、お気軽にご相談下さい

【香港税制】色々な種類の所得がある人にはお得なパーソナルアセスメント

こんにちは!香港の公認会計士です。香港でパーソナルアセスメントを活用することで、税金を節約できる可能性があります。今日はあまり知られていないパーソナルアセスメントについて解説します!

パーソナルアセスメントとは

香港の税金は所得に対し源泉地主義(関連記事:香港税務―概要)が採用されており、香港源泉の

  1. 事業所得
  2. 給与所得
  3. 不動産所得

のみ課税されますが、それぞれ異なる方式で算定されています。

そのため、不動産所得税(関連記事:香港税務―不動産所得税)や事業所得税(関連記事:香港税務―事業所得税)には給与所得税(関連記事:香港税務―給与所得税)のようなPersonal Deduction(控除)が適用不可であったり、不動産所得税では不動産購入に係る支払利息の控除が認められていません。一方、パーソナルアセスメントではPersonal Deduction(控除)や当該支払利息の控除が認められています。

パーソナルアセスメントがお得なポイント

パーソナルアセスメントを利用することで、得ることができる主なポイントは以下の通りです。

  • 不動産所得税では認められない不動産購入に係る支払利息の控除(不動産課税所得を限度額として)
  • 給与所得税では限度額のある自宅用不動産購入に係る支払利息の控除
  • 事業の欠損金の他の所得との合算
  • 不動産所得税や事業所得税では認められないPersonal Deduction(控除)の適用
  • 不動産所得税や事業所得税では認められない低税率の累進課税の適用

事業の欠損金の他の所得との合算については、自身の他の所得と合算した上でも、欠損金が残る場合は、配偶者の所得と合算することが可能です。それでも欠損金が残る場合は次課税年度以降に繰り越しできます(永久繰越)。

パーソナルアセスメントの申請要件

パーソナルアセスメントは誰でも申請できるわけではありません。具体的に、以下の3条件を満たした人が申請できます。

  1. 個人(自然人)、
  2. 18歳以上で(両親が死亡の場合は18歳未満でも可)
  3. 香港永住もしくは一時的居住(結婚している場合は、配偶者も永住もしくは一時的居住)
    している場合に申請可能です。

香港永住とは、通常の居住地が香港であることです。
香港に一時的居住とは、

  • パーソナルアセスメントを申請する課税年度に180日超香港に滞在、もしくは
  • パーソナルアセスメントを申請する課税年度を含む、連続する2課税年度において300日超香港に滞在

を意味します。

パーソナルアセスメントの申請

  • パーソナルアセスメントを申請の期限は、パーソナルアセスメントを申請する課税年度の期末日から2年

もしくは

  • ①事業所得②給与所得③不動産所得のいずれかの所得の賦課通知書の最終決定日から1ヵ月

のうちどちらか遅い方です。申請は香港の税務局(IRD)に対し①申請レター②BIR60もしく③IR76によって行われなければなりません。用紙は以下のリンクから入手可能です。

https://www.ird.gov.hk/eng/paf/for.htm

結婚している場合は、必ず夫婦合わせてパーソナルアセスメントを行わなければなりません。例えば、夫はパーソナルアセスメントを選択し、妻は給与所得税を選択するといったことはできません。つまり夫婦のすべての所得が合算され税額算定されることに留意が必要です。

この記事を読んで、パーソナルアセスメントでの申請に興味を持っていただければ幸いです。ご質問はいつでも受け付けていますので、どうぞお問い合わせ下さい。

フリンジベネフィットに対し意外とお得な香港税制

私は香港の公認会計士です。いきなりですが、フリンジネベフィットって知っていますか?現金で受け取らない現物支給のようなものをさします。香港ではフリンジネベフィットにすることで課税対象外になるケースがあります。今日はフリンジネベフィットを説明します!

フリンジベネフィットの概要

フリンジベネフィットとは、企業などが、その役員や従業員などの給与所得者に対し、賃金・給与以外に提供する経済的便益を指し、例としては、社用車の個人的使用、クラブメンバーシップ、雇用主からの無利息もしくは低金利の借入の他、住居において雇用主の支払う光熱費等が含まれます。

英語の fringe は「布、帯、肩掛けの房のふち飾り」、「ふさ飾り」の意味であり、benefit は「利益」「給付」です。給与本体とは別に提供される便益という捉え方から、「付加的給付」、「付加給付」、あるいは、「追加(的)給付」などと訳されることが多いです。

また、給与ではないが便益であることから「経済的便益」、また、しばしば金銭ではなく現物で支給されることから「現物給与」などとも訳されることもあります。

フリンジベネフィットに係る香港の税金

租税条例9(1)(a)(iv)及び9(2A)により、香港で課税されるフリンジベネフィットは、

  • 現金に交換可能な便益
  • 雇用主から支払われる子女の教育費(雇用主が支払い義務を有していても)
  • 雇用主が提供する休日旅行「Holiday Journey」(雇用主が支払い義務を有していても)

になり、

  • 現金に交換できない、
  • 従業員の支払義務を肩代わりしない

限りにおいては、当該便益は給与所得から除外されることになります。

例えば、雇用主(会社)が従業員用に契約している住居についても、

  • 当該使用権を直接現金化できず、
  • 会社契約のため、従業員には支払義務がない

ため、給与所得税の課税対象になりませんが、特別の規定により、みなし賃料が採用されております(関連記事-給与所得税)。

https://startuphk.jp/salaries-tax/

その他、当該住居の光熱費についても、雇用主がChina GasやHong Kong Electric(香港のガス・電力会社です)と直接契約し会社が支払っている場合、給与所得税が課税されることはありません。

社用車についても、同様の取り扱いになり、個人的使用であったとしても給与所得税が課税されることはありません。これの意味するところは、会社が購入した社用車を、会社の事業所得税上、最終的には全額を損金算入とする一方で、役員を含む従業員が当該社用車の個人的利用も含めた使用に、一切の給与所得税がかかりません。

そのため、この規定が香港でよく高級車を目にする一助になっています。上記以外の主なフリンジベネフィットとしては、医療保険転売不可の食事券無利子・低金利の貸付があります。

税金の金額が変わる!フリンジベネフィットの取り扱い上の留意点

一方、従業員個人が契約し会社がその支払いを肩代わりするのは、給与所得税の課税対象になるので、留意が必要です。例えば、上記のChina GasやHong Kong Electricの光熱費の支払いについて、従業員自身が契約者で、会社が支払うような場合は給与所得税の対象になります。つまり下表のように、同じ光熱費にも関わらず、アレンジをかえるだけで、従業員の給与所得が増えることになります。

契約者 会社 従業員
事業所得税(会社) 損金算入 損金算入
給与所得税(従業員) 課税対象外 課税対象

上記は光熱費ですが、ゴルフクラブの会員権など、金額の大きいものは給与所得税への影響も大きくなることに留意が必要です。

いかがでしょう。香港のフリンジベネフィットは税制上お得なものになっています。もっと詳しく知りたい、これはフリンジベネフィットになるのかなど、何かご質問あればどうぞお気軽にご質問ください

【意外と盲点】香港での代理人PEによる課税

私は日本人では珍しい香港の公認会計士です。税務アドバイザーとして10年以上のキャリアがあります。今日は代理人PEについて解説します。日本法人が課税を受けるリスクやBEPS対策の行動計画もわかりやすく説明したいと思います!

Permanent Establishment(PE)とは

Permanent Establishment(PE)とは恒久的施設を指し、日本・香港租税条約上では、OECDモデル租税条約に従い、「事業を行う一定の場所であり、企業がその事業の全部または一部を行っている場所」と定義されています。概要については、以下の関連記事を見てください。

PEを日本・香港租税協定に基づいて分類してみると、次の3つに分けられます。

  • 固定事業所PE
    事業の管理の場所(支店、事務所、工場等)
  • 建設工事PE
    12ヵ月超の期間存続する工事現場
  • 代理人PE
    企業を代理して行動し当該企業の名において契約を締結する権限を常習的に行使する者

このうち、今回は意外と盲点の代理人PEについて解説します。

この代理人PEは、規定の詳細は多少異なるものの、日本・香港・中国の基本的な考え方は同様で、日本法人が香港に代理人を有する場合、香港法人が中国に代理人を有する場合、そして日本法人が中国に代理人を有する場合のいずれにも適用されるので留意が必要です。

事例で考えてみる 代理人PEとは

以下の事例をもとに考えていきます。

例えば、ある日本法人が香港に製品を販売したいと考えたとき、当該日本法人が香港に支店や子会社を設立せずに、既に香港市場に知見のある香港の代理人を通して、自社製品を販売するケースがあります。

香港代理人は日本法人からの製品販売を請負い、香港商社に当該日本法人の製品を販売します(代理人が直接製品仕入をする場合もあれば、商社の紹介に留まり、製品仕入に携わらないケースもあります)。日本法人は香港代理人を通して香港商社に製品を販売し、当該商社は他の香港法人に日本法人の製品を販売します。通常、代理人には売上に応じた手数料が支払われます。このようなケースにおいては、日本法人は香港法人と取引をしているに過ぎず、香港では課税が発生しません。

しかし、時に業務簡素化や代理人との長年の関係に基づき、香港代理人に香港での製品販売に係る契約交渉や、契約締結の権限を委譲することがあります。つまり香港代理人が「日本法人の名義において契約を締結する」ことがあります。

この場合、当該香港代理人は実質的に当該日本法人の営業活動を担っているため、代理人PEを構成することになります。言い換えれば、日本法人が香港に支店や子会社を設立して、営業活動を行っていることと実質的には同様のことを代理人を通じて行っているだけであり、日本法人の製品販売から生じる所得は香港源泉であるので、課税しますという理屈です。

この場合、香港代理人が日本法人に代わり、その売上代金や手数料の一部を留保することで、事業所得税を納税することになります。また香港代理人が日本法人の製品を棚卸資産として保有する場合は、代理人PEと判断されますので留意が必要です。

代理人PEとは

例えば、ある日本法人が香港に製品を販売したいと考えたとき、当該日本法人が香港に支店や子会社を設立せずに、既に香港市場に知見のある香港の代理人を通して、自社製品を販売するケースがあります。

香港代理人は日本法人からの製品販売を請負い、香港商社に当該日本法人の製品を販売します(代理人が直接製品仕入をする場合もあれば、商社の紹介に留まり、製品仕入に携わらないケースもあります)。

日本法人は香港代理人を通して香港商社に製品を販売し、当該商社は他の香港法人に日本法人の製品を販売します。

通常、代理人には売上に応じた手数料が支払われます。このようなケースにおいては、日本法人は香港法人と取引をしているに過ぎず、香港では課税が発生しません

しかし、時に業務簡素化や代理人との長年の関係に基づき、香港代理人に香港での製品販売に係る契約交渉や、契約締結の権限を委譲することがあります。つまり香港代理人が「日本法人の名義において契約を締結する」ことがあります。この場合、当該香港代理人は実質的に当該日本法人の営業活動を担っているため、代理人PEを構成することになります。

言い換えれば、日本法人が香港に支店や子会社を設立して、営業活動を行っていることと実質的には同様のことを代理人を通じて行っているだけであり、日本法人の製品販売から生じる所得は香港源泉であるので、課税しますという理屈です。

この場合、香港代理人が日本法人に代わり、その売上代金や手数料の一部を留保することで、事業所得税を納税することになります。また香港代理人が日本法人の製品を棚卸資産として保有する場合は、代理人PEと判断されますので留意が必要です。

BEPSの行動計画7(PE認定の人為的回避の防止)に基づく代理人PE

BEPSとはBase Erosion and Profit Shifting(税源浸食と利益移転)を意味し、現地税制や国際課税原則の観点からは合法ではあるが、法人税収を著しく減少させる国際的税務プランニングのことです。

皆様も国際的な企業が、租税回避地に法人を設立し、その法人を通して取引を行うことでグループ全体の課税額を抑制するという方法をお聞きになったことはないでしょうか。このような税を巡る不公平を解消するため、OECDは世界中の政府・税務当局と連携してBEPS対策の行動計画を策定しています。それがBEPSの行動計画になります。

この行動計画7では、PE認定の人為的回避に対する施策が盛り込まれており、今後世界中で適用されることが予想されますので予め解説します。今回の代理人PEについても、例えば、

香港法人は、日本法人の代理人であっても、①代理人自身の名で契約を締結する、②契約締結に至る実質的な活動を代理人が行い、契約の締結は日本法人が行う等とすることによりPEが回避されるという課題がありました。

そこでBEPSの行動計画7では、実質を重視することにより、代理人PE判定を厳格化しました。日本法人のために香港内で代理行動する香港法人は、以下の要件を満たす場合、代理人PEと判定されることになります。

  • 次のいずれかの契約であること
    -日本法人の名において締結される契約であること
    -日本法人の物品の販売に関する契約であること
    -日本法人による役務提供に関する契約であること
  • 次のいずれかの行為を行うこと
    -香港代理人が契約を締結すること
    -香港代理人が契約の締結に繋がる主要な役割を担うこと

例:

  • B社(香港法人)は、A社(日本法人)の代理人
  • 販売契約

-B社がA社を代表して代理人の名で契約を締結する
-販売契約はA社に対する法的拘束力を有しておらず、顧客にはA社の存在は明かされていない
-A社と顧客の間に直接の契約関係は存在しない
-商品の所有権は、A社から直接顧客に移転される
-B社は、A社のみに販売代理サービスを提供する

現行の規定では、契約が香港代理人の名前で締結されることにより、日本法人に対する法的拘束力を有さない場合は、代理人PEと判定されません。しかしBEPSの行動計画7の規定では、香港代理人が、日本法人を代表して活動を行い、頻繁に契約を締結し、且つ当該契約が日本法人が所有している、または使用権を所有している財産の所有権の譲渡または使用権の付与に関わる場合は、香港代理人はPEとして判定されるとしています。

盲点でもありややこしい論点も含む代理人PEですが、いかがでしたか?

もし気になる点などあれば、何でも質問してみてくださいね。

香港法人が中国で企業所得税を課税されるPermanent Establishment(PE)とは

私は香港で税務アドバイザーとしての10年以上の経験があります。香港は「中国へのゲートウェイ」といわれることもありますが、香港と中国ではそれぞれ別の税法が適用されています。そのため、Permanent Establishment(PE-恒久的施設)の問題は香港と日本同様、香港と中国でも発生します。

https://startuphk.jp/pe-hkjp/

中国におけるPEとは

Permanent Establishment(PE-恒久的施設)とは事業を行う一定の場所等をいいます。中国の企業所得税法においてPEとは「中国において生産経営活動に従事する機構・場所」をいい、管理・営業・事務機構、工場や天然資源の採掘現場、役務提供の場所、建築・据付等の現場および営業代理人を含むとされています。

中国にPEを有する香港法人のような非居住者企業はPEに帰属する所得につき企業所得税を納付する義務があり、税率は中国企業と同様の25%です。

中国・香港租税協定に基づいてPEを分類してみると、次の3つに分けられます。

  • 固定施設PE
    事業の管理の場所(支店、事務所、工場)や6か月超の期間存続する工事現場
  • 代理人PE
    企業を代理して行動し、企業の名において経常的に契約を締結する権限を行使する者
  • 役務提供PE
    企業またはその使用人が行う、コンサルティング業務を含む役務の提供。同一または関連するプロジェクトのために任意の12ヶ月のうち累計で183日を超えて継続して役務提供を行う場合

固定施設PEは代理人PEは比較的わかりやすい概念だと思います。ただ役務提供PEは複雑な点もあるので、さらに以下で説明をします。

役務提供PEとは

2010年、中国の国家税務総局は中国とシンガポールの租税条約の解釈に関する通知(いわゆる75号通達)を発行しています。この75号通達は他の租税条約の類似規定にも適用されることとされており、詳細は以下のようになります。

役務提供PEの判定基準

  • 対象役務:建設、技術、管理、デザイン、研修、コンサルティングといった多様な活動
  • 同一または関連するプロジェクト:商業的な一体性を有する
    例えば、一つのマスター契約でカバーされている、同一の者が異なる契約の下で役務提供を行っている等の場合には、たとえ契約を複数に分割したとしても一つのプロジェクトとみなされます。
  • 累計183日:中国への最初の入国の日からプロジェクト終了の日まで
    この累計は役務提供に従事している個人毎の累計ではなく、プロジェクトに従事するいかなる人が入国していれば1日とカウントされますので留意が必要です。

出向者のPE問題

75号通達では、香港法人や日本法人のような中国外の親会社が中国子会社に従業員を出向させる場合、子会社のリスクと責任おいて当該出向者を管理監督するならば、つまり75号通達にある「真の雇用主」が中国企業であれば、中国外の親会社は中国にPEを有さないとみなされます。出向先の中国企業が真の雇用主とみなされるための要件は以下の通りです。

  • 中国企業が当該出向者に対し命令権を有していること
  • 当該出向者が中国企業の管理・責任の下に勤務すること
  • 派遣元に支払う報酬が当該出向者の労働時間に基づいて算定される(もしくは個人の賃金と関連性がある)こと
  • 当該出向者の役務提供に必要な道具は主として中国企業により提供されること
  • 出向者の人数および資格は中国企業により決定されること
    上記要件を踏まえ、派遣された出向者が中国外の派遣元企業のために働いているとみなされた場合は、上記で述べた役務提供PEの判定基準に従ってPEの有無を判定する必要があります。

出向者給与の送金

中国企業が真の雇用主である出向者に対し、香港法人のような中国外の親会社が給与を直接支払っていても、その事実のみをもって、親会社が中国にPEを有することにはなりませんが、親会社が立て替え払いした給与については中国企業に対し請求を行い、中国企業の費用として認識されなければなりません。

ところがこのような立て替え払いを行うと、中国外の親会社に対して中国企業が提供した役務の対価とみなされ送金時に課税されるという例が散見されますので、中国企業による直接支給により課税リスクを低減させることを検討する必要があります。

日本法人が香港で事業所得税を課税されるPermanent Establishment(PE)とは

私は香港の公認会計士として、企業に10年以上税務アドバイザーを提供しています。香港で税務を考える上で論点になるPermanent Establishment(恒久的施設)の問題があります。今日はこのPermanent Establishment(PE)について考えます。

Permanent Establishmentの概要

Permanent Establishment(PE)とは恒久的施設を指し、日本・香港租税条約上では、OECDモデル租税条約に従い、「事業を行う一定の場所であり、企業がその事業の全部または一部を行っている場所」と定義されています。

このPEを有する日本法人はそのPEの形態に関わらず、実質的に香港で事業を行っているとみなされ、香港PEに帰属する所得につき、香港で事業所得税が課されます。つまり香港に法人を有していないものの、実質、法人と同機能を果たして事業を行っているとみなされ、香港源泉の所得に対し、事業所得税が課されることになります。

これだけではよく分からないという方が多いと思われますので、これを日本・香港租税協定に基づいて分類してみると、次の3つに分けられます。

  • 固定事業所PE
    事業の管理の場所(支店、事務所、工場等)
  • 建設工事PE
    12ヵ月超の期間存続する工事現場
  • 代理人PE
    企業を代理して行動し当該企業の名において契約を締結する権限を常習的に行使する者

例えば、日本法人が香港に支店や事務所を有し、事業活動を行っている場合は、その日本法人は香港にPEを有しているとみなされ、例え香港法人でなくても、香港源泉の所得につき事業所得税が課されます。

具体例で説明しましょう。日本で高級バイクを売っている会社があるとします。彼は香港の富裕層相手にも高級バイクを売ろうと思い、香港のシェアオフィスを拠点に、バイクを売り、売上を立てます。お金は日本の銀行口座に振り込んでもらうことにしました。この場合、香港にPEを有しているとみなされ、課税されます。実際にはシェアオフィス宛に、課税通知が届くことになります。(ちなみに、こういったケースではビザなしでの商行為が問題になることもあります。ただ、税務局は香港源泉なのか否か、もしくはインカムゲインなのかキャピタルゲインなのかのみを評価します。)

代理人PEについては留意が必要です。日本法人が香港で代理人を任命し、香港で営業活動を行う場合、当該代理人が、日本法人の名において契約を締結する権限を有し、かつ、この権限を反復して行使し、企業に代わって営業活動を行う場合、香港代理人は日本法人のPEとみなされ、その事業所得に対し税金が課されます。

しかし、通常の方法で業務を行なう仲立人、問屋その他独立の地位を有する代理人(独立代理人といいます)を通じて事業活動を行なっている場合には、PEとはなりません。あくまで日本法人が実態として香港で事業を行っているか否かが論点になります。

一方、下記のような準備的・補助的な事業についてはPEには該当しないこととしています。

  • 法人に属する物品または商品の保管、展示または引渡しのためにのみ施設を利用すること。
  • 法人に属する物品または商品の在庫を、保管、展示または引渡しのためにのみ保有すること。
  • 法人に属する物品または商品の在庫を、他の企業による加工のためにのみ保有すること。
  • 法人のために物品若しくは商品を購入し、または情報を収集することのみを目的として、事業を行なう一定の場所を保有すること。
  • 法人のためにその他の準備的または補助的な性格の活動を行なうことのみを目的として、事業を行なう一定の場所を保有すること。
  • 上記を組み合わせた活動を行なうことのみを目的として、事業を行なう一定の場所を保有し、また、その活動の全体が準備的または補助的な性格のものであること。

委託販売税

香港では、日本法人のような非居住者が香港で委託販売を代理人を通じて行う場合には、売上に応じて課される委託販売税があります。具体的には、日本法人の委託を受けて販売をする香港の業者は日本法人への売上送金の際にその売上の1%以下の支払を留保し、四半期ごとに税務当局に申告・納税する義務がありますが、実務上は0.5%を適用しています。

ここで規定されている代理人の定義には、非居住者との関連において、以下の内容が含まれます。

  • 香港内において非居住者の代理店・代理人・管財人を務めており
  • 非居住者が何らかの香港源泉所得をその者から得ている

Permanent Establishment(恒久的施設)の議論いかがでしたでしょうか。代理人PE話は追って説明する予定です。こういった点は税務アドバイザーなど専門家の経験が生きる分野です。もし気になるなどあれば、お問い合わせ下さい