香港転職時 レファレンス・レター(Reference Letter) の扱い

従業員が香港企業を退職する際、就業最終の日に、上司がレファレンス・レター(紹介状・推薦状)を従業員に渡すのが一般的です。

組織形態によりますが、(サイン権限があれば)上司・人事担当が、該当する従業員について以下をレファレンスレターにて確認します。

①就業期間

②ポジション

③仕事内容

④就業態度

レファレンス・レターは非常に重要な書類で、転職の際、原本提示を求める企業は多く、身元確認の一環として、元上司・人事担当者に電話して確認する場合もあり、提示がない場合には、懲戒解雇されたと勘違いされる場合もありますので注意が必要です。ある意味、卒業証書や資格証明書のような位置づけです。

その重要性から、例えば、雇用主が従業員を辞職させたい場合に、「辞表提出」か「レファレンス・レターが発行されない」か、2パターンを提示して、辞職に追い込むケースがあります。「辞職強要」(Constructive Dismissal)の説明について、こちらをご覧ください。

香港法上の整理になりますが、懲戒解雇(Summary Dismissal) された否かに関係せず、雇用主にはレファレンス・レターを発行する義務はありません。

レファレンス・レター発行の義務はないものの、発行することになると、雇用主には法的リスク・義務が伴います。事実と反する記載がある場合には、名誉棄損 (Defamation / Libel ) リスクが生じ、名誉棄損行為があれば、過失責任を追及される可能性があります。元従業員について、真実、公平及び正確な記述をする必要があります。

また、懲戒解雇された従業員について、レファレンス・レターを作成する場合、名誉棄損リスクを軽減する必要があります。詳細は私たちにご相談ください。