会計・税務

【香港税務】ロイヤルティにかかる税金は特別扱い

香港から日本へ支払うロイヤルティには税金がかかるの?

誰が課税対象者になるの?

あれ、ロイヤルティにかかわる税金は誰が納付するの

こんにちは。私は香港の公認会計士として10年以上働いています。

日本法人が有する知的財産(特許権・意匠権・商標権・著作権・製造ノウハウ等)の香港での使用の対価として、香港法人から日本法人へロイヤルティを支払うことがあります。

このロイヤルティについては、受取人である日本法人の香港での事業実態により、ロイヤルティ額の16.5%もしくは4.95%が日本法人に課され、香港法人が日本法人の代わりに納付します。

香港におけるロイヤルティ収入の取り扱い

ロイヤルティとは特定の権利を利用する利用者が、権利を持つ者に支払う対価のことで、特定の権利には特許権意匠権商標権著作権製造ノウハウ等の知的財産権が含まれます。

一方、香港の税金は所得に対し源泉地主義が採用されており、香港源泉の所得のみ香港で課税されますので、香港で事業を行っていない日本法人が保有する知的財産から生じるロイヤルティ収入は、その源泉が香港外(日本)にあるため、厳密には香港では課税されないことになりますが、Section15(1)(a), (b)及び(ba)により所得と規定することで課税を行っています

源泉地主義については以下も読んでみてください!

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通常、非居住者である日本法人が香港の使用者から受け取るロイヤルティは、そのうちの30%を所得とみなし、30% × 16.5%(2017/18) = 4.95%が受取額に対し課税されます。

しかし、株式の過半数保有による支配関係や同一の者に支配されている会社同士というような関連当事者間のロイヤルティに関しては、過去において香港内で対象無形資産の全部または一部を保有していた場合、受取ロイヤルティの全額(100%)がみなし所得とされます。

この場合、受取人が法人であれば100%×16.5%=16.5%が受取金額に課税されます。これは、香港で生成した無形資産をタックスヘイブンで設立された関連法人に譲渡し、みなし所得を30%とする租税回避行為を防止するためです。

またこのみなし所得30%の措置は、非居住者のみに適用されれるため、仮に日本法人が香港にPermanent Establishment(関連記事:日本・香港PE)を有し事業を行っている場合は香港源泉所得をみなされ、受取ロイヤルティの全額(100%)がみなし所得となるので留意が必要です。

日本・香港のPermanent Establishment(PE)は以下で説明しています。

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香港法人から日本法人支払われるロイヤルティの課税

日本法人が香港にPEを有さない場合は、現実的には税金の徴収が難しいため、香港法人がロイヤルティの支払の際に税額相当分を留保し、受取人である日本法人に代わり納税する形で、ロイヤルティの支払者(香港法人)に対して納税義務を課しています。

具体的には香港法人の事業所得税の申告に併せ、日本法人のみなし課税所得をIRDに申告します。IRDはその申告に基づき、香港法人に対し日本法人のための申告書を発行し、香港法人が申告書を提出した後、IRDが賦課通知書を発行し、最終的に香港法人が支払留保分を納付します。

日本・香港租税条約に基づくロイヤルティの制限税率

みなし所得 香港租税条例 日本・香港租税条約
100% 16.5% 5%
30% 4.95% 4.95%

日本・香港間では租税条約が締結されているため、香港租税条例より租税条約が優先して適用されますが、香港租税条例が租税条約の税率より低い場合、香港租税条例が適用されます。

日本法人は、受取ロイヤルティを課税所得に算入し、日本で法人税を申告・納付することになるため、 香港でのロイヤルティ税との二重課税が生じます。その二重課税を回避するためには、日本法人の法人税申告に際し、外国税額控除を申請します。ただし香港の国内法の税率によって課税を受け、租税条約の限度税率を超える部分には、外国税額控除の適用は認められません(法人税法施行令142の2⑧五)。

最後の方、少し複雑になりましたが理解いただけましたか?なにかご質問などあれば、お気軽にご質問下さいね。