【海外銀行口座】 架空請求・誤送金の対処法

ウクライナ情勢に影響されたのか不明ですが、トヨタ自動車関連会社の小島プレス社事件を見るように、詐欺的行為が増えています。架空請求や誤って海外送金した際の解決方法について、本書にてご紹介いたします。

1)架空請求による資金流出

架空請求等の詐欺的行為により、海外送金にて会社資金が流出した場合はどのような対処法があるのでしょうか。

まず、民事的措置ですが、裁判を提起することで、民事的に金銭回収もしくは損害賠償請求を行うことは、理論上は可能ですが、相手が特定できないため、非常に困難です。

それでは、刑事的措置についてですが、まずは警察通報することになります。ここで、重要なポイントになりますのは、実際にその国の警察管轄にて欺罔行為が行われていたか(もしくは、被疑者が住んでいたか)がポイントになります。言い換えれば、その国のどの警察管轄が関連するかを特定しないと、門前払いにされてしまいます。警察への通報する際、以下の書類が必要になります。

(1)請求書のコピー (架空請求の証拠)

(2)送金記録 銀行口座番号が記載されているもの

(3)メールや請求書

被害金額が1億円くらい大きくなると、国際刑事警察機構(インターポール)の関与が考えられます。同様案件がある場合に合算されたり、個々の担当警察官の判断になります。 

2)誤送金の組み戻し

それでは、ご自身がインタネットバンキングで送金したのですが、送金先を間違っていた場合はどのような対処方があるのでしょうか。

法的整理をしますと、本来、資金受領するべきでない者が受領すると不当利益を得ていることになります。法的措置として、受領者に対して不当利得返還請求 (英国法 Disgorgement of Profits) を起こす事が可能です。しかし、実際のところ、受領側は受領意図があったわけでもないので(そもそも不当ではないので)、組み戻しを不合理に要求することができません。弁護士費用を勘案すると現実的ではないかもしれません。

他方、取引根拠がないのに資金受領をすると、受領した会社での会計処理が困難になります。また、アンチマネロンの観点から、送金元を確定する必要がありますので、特に金融機関等の大企業になると、誤送金を受領した場合は返還せざるを得ません。

架空請求や誤送金の対処法につきましてVisence Professional Services にご相談下さい。

海外使用の翻訳証明 (Certified Translation)とは

法的目的において、翻訳文書を提出する際、翻訳証明もしくは翻訳認証を求められる場合があります。 たとえば海外の外国領事館でビザを申請する場合や、海外政府機関に文書を提出する場合など、認定された翻訳の提供を求められることがよくあります。

例として、出生証明書、結婚証明書、離婚証明書、医療記録が含まれます。また、銀行口座やその他の銀行業務の申請には、多くの場合、認定された翻訳が必要です。

経験則上、政府の省庁は、認証要件に関してかなり一貫性がありません。翻訳が拒否されないようにするには、翻訳を提出する政府機関または機関に、その要件が正確に何であるかを尋ねることが重要です。

翻訳証明には、以下2種類があります。

  • 会社証明書(Company Translation)は、レターヘッドに印刷された正確さの証明書であり、会社の代表者が署名・印鑑が押印されます。この証明書は、翻訳のプリントアウトに添付されています。
  • 宣誓申告(Sworn Declaration) は、公証人に直接出向き、そこで翻訳を提示し、それが真実で正確であることを宣誓します。

Visence Professional Services では、Company Certification とSworn Declaration を提供しています。日語、英語、中国語での対応が可能です。様々な、海外使用翻訳の実績がございます。お気軽にお問い合わせください。

クロスボーダー債権回収に係わるリスク管理

世界的な景気後退より、売掛金等の債権回収が困難になっているというご相談が多くなっています。海外で債権回収について、どのような手続きがあるのでしょうか。

結果からお伝えしますと、「債権回収」に関する教科書があるわけでもなく、必ず回収することができる確立した手法や法制度はございません。

従いまして、ビジネス性と法律手段を上手くバランスをとり回収手段を検討する必要があります。

以下は、債権回収の手段について検討する際に考慮する点です。

  • 債務者との今後のビジネス関係について精査する必要があります。もし、ビジネス関係を継続するのであれば、緩やかな対応が必要になります。

  • 経営難の債務者を精神的に追い込むと、自己破産や高跳びする場合があり、回収不能となる場合があります。なるべく感情的にならず、債務者状況を理解し、慎重な対応が必要です。

  • 債権回収業者や弁護士に委託することは可能ですが、かえって債務者の感情的を逆立て、紛争がエスカレートする場合がありますので注意が必要です。

  • 債権回収に係わる法的手段は、原則的には「最終手段」になりますので、法的手段実行後は関係修復は不能と考えます。

  • 未払いの催促だけでは解決策を見いだせないので、未払い以外の責任追及を精査する必要があるます。例えば、債務者との資本関係があれば、会社法上、債務者が取締役としての義務がある場合があります。また、株主として帳簿閲覧権を行使することも可能です。


上記から、債権回収は非常に難しいプロセスであることがわかります。従いまして、契約締結時並びにビジネス関係を継続する上で、回収できなくなることを想定してリスク管理を行う事が重要です。契約締結時のリスク管理で有効なのは、契約書に紛争解決方法として「国際仲裁」を記載しておく事も有効です。 以下は、海外における一般的債権回収手段のステージです。 債権回収につきまして、Visence Professional Services (https://visence.info/) にご相談ください。

非上場投資信託の投資商品流通に関する 香港証券先物委員会(SFC)と香港香港金融管理局(HKMA)Thematic Review テーマ別ジョイントレビュー実施について

2022年3月1日、証券先物委員会(SFC)と香港金融管理局(HKMA)は、仲介業者による非上場投資商品の流通に関するテーマ別レビューを同時に開始しました。規制当局は、2021年10月の調査の初回結果を発表し、共通の懸念事項に対処するために監督を緊密に調整してきました。

Thematic Reviewは、エクイティリンクストラクチャード商品(エクイティ・アキュムレータおよびデキュムレータを含む)や社債などの人気商品の流通に係わる証券仲介業者の方針、取引手順、システム、および内部統制、ならびに管理監督が範囲となります。レビューの目的は、製品のデューデリジェンスの実施、適合性評価(Feasibility) の実施、およびクライアントへの情報提供の慣行を含む、行動規範に基づく適合性要件への仲介者のコンプライアンスを評価することです。

SFCとHKMAは、同時テーマレビューの結果を業界と共有し、必要に応じてさらなるガイダンスの必要性を検討します。

上記記事につきまして、ご質問がありましたら、バイセンス(https://visence.info) にご相談ください。

【香港活用方法】中国投資・進出について(2022年2月18日現在)

最近、海外事業を展開するビジネスマンから「米中対立が収束した後、中国経済圏はどのようになるか」という照会があります。国際政治情勢は欧州・アジアにて激化し、不確実性が高まっていますが、いつか収束するはずです。本稿では、地政学的リスクが収まることを前提に、事実に基づき、中国経済圏の展望について冷静に分析し、国際金融都市「香港」の活用方法とリスク回避方法についてご紹介いたします。

以下が中華圏・香港の状況です。

  • 中国経済圏は(国土が広くGDPの元データの質について諸説ありますが)世界第2位の経済圏で、現在鈍化傾向であるものの成長を続けています。
  • 不動産バブルが崩壊しましたが、主要都市の経済は成熟し、中国中央政府は「共同富裕」(Common Prosperity) による貧困層への資産分配(Wealth Distribution)を打ち出しました。
  • 米国シリコンバレーを見本に、深圳はAIやIOT分野のハブとなり投資活動が盛んになりました。欧米企業や日本企業がなかなか入り込めないのが現状です。
  • 政治制度について、時の政権により左右されますが、中国は「社会主義」に基づくため、欧米諸国や日本の「民主主義」制度とは異なります。台湾関係を含め、欧米諸国・日本との外交的な衝突は絶えません。

    香港について
  • 2014年頃より民主化デモがスタートし、2019年秋には激化しました。当局はデモ活動は外国勢力に影響されていると考え、外国勢力を排除するための「国家安全法」が施行されました。その後、扇動行為や国家反逆罪の取締が強化され、コロナ・オミクロン蔓延にも後押しされ、デモ活動は沈静化しました。
  • 英国との共同宣言(Joint Declaration)に基づく一国二制度は2047年に終了しますが、中央政府は以後の香港の在り方について一定の影響を与えています。英国より返還された1997年頃と同様に、多くの香港人が、北米、英国、欧州、日本、台湾などに移住しています。
  • Google 等の欧米企業や日本企業は、香港撤退・縮小を検討しますが、国際金融機関の香港拠点はアジアでの投資活動を支えています。他方、香港域内のデータセンターに対する投資は以前より増加傾向にあります。

上記事実に基づき、中立的なコメントをいたします。

メディア・ソーシャルメディアにより影響された感情論は、中国投資を避ける傾向にあるなか、対中投資の在り方(一部撤退、リスク回避手段等)を見直す必要がありますが、海外展開するビジネスが世界第二位の経済圏に(完全に)背を向けるのは、正しいビジネス判断であるのか著者は疑問を感じています。 

香港の隣町である深圳は、シリコンバレーや日本の技術力に大きく影響され、AI・IOTのハブとして成長しましたが、発展経緯、技術革新のスピードは、現地独特の商慣行や人材が寄与しています。中国グレイターベイエリア(China Greater Bay Area) 構想の、動向には今後注視していきたいです。https://www.bayarea.gov.hk/en/home/index.html

「国家安全法」は社会主義国的方針により運用されていますが、「扇動罪」、「国家反逆在」は諸外国の法律とそれほどかわりませんし、香港司法制度の独立性に影響は確認できません。しかしながら、諸外国は国家安全法の運用方法について良く捉えていないため、外交的かつ丁寧に説明し、両者が理解する努力が必要と考えます。同時に、中国大陸の歴史は外国勢力の侵略・影響によって大きく左右されたことから、政治判断やセンティメントに歴史観が影響することは注意すべき点です。

香港人の移住ブーム、一部国際企業の香港撤退は、1997年前(香港中国返還時)の光景と酷似します。しかし、移民ブームを経て、2003年SAR後、香港は中国のゲートウェイとして脚光を集め経済は急回復しました。香港経済にサイクルがあると仮定すると、幾何学的に2019年が経済縮小のどん底であり、そこから成長するかもしれません。コロナ並びに政治情勢が安定すれば、また人材が集まり発展する国際都市となる可能性はあります。

地政学的不安をチャンスと捉える方もいます。米国著名投資家でBridge Water Associates創設者である Ray Dalio氏 は、アリババに追加投資をしています。Dalio氏は親中派として知られますが、現況を機会としてして捉え中国事業家に恩を売る良いタイミングかもしれません。https://www.bloomberg.com/news/articles/2022-01-25/dalio-says-u-s-divisions-pose-risk-for-2024-election-upheaval

中国経済が継続して成長することを想定すると、現段階で中国経済から完全撤退してしまうと、地政学的リスクが改善された際、ビジネス機会を逃す事になってしまいます。一方、地政学的リスクは、投資家やビジネスマンのコントロール下には無いため、代替案(Plan B)は必須です。

引き続き、ゲートウェイであり法人税の低い「香港」を活用するのが合理的ですが、監査義務のないオフショア法人(例 英国バージン諸島、ケイマン諸島、セイシェル)を香港にて「外国法人」登録することで、香港域内の口座開設が容易となります。香港が政治的に影響をうけることに備え、第三国の銀行口座に一定資金をプールしておくことでリスク回避が可能です。

地政学的問題が一日も早く解消されることを願います。香港法人・オフショア法人に関して、Visence Professional Services (https://visence.info/)にご相談ください。