今さら聞けない 香港法人基本情報

1.香港法人の種類

法人登記所(Companies Registry)に登記できる法人は、以下4種類です。

① Private company limited by shares  (非公開有限責任会社)

② Public company limited by shares(香港証券取引所上場企業)

③ Private Company limited by guarantee (非公開有限責任保証会社)

④ Open Ended Fund Company (オープンエンド・ファンド投資会社)


本書では、香港進出で活用される①について説明します。香港法上、個人事業(Sole Proprietor)、無限責任組合(Partnership)・有限責任組合(Limited Partnership)はCompany Registry に登記できないものの、設立は可能です。

2.会社名 (Company Name)

登記済みの会社名でなければ、英語、中国語(繁体字/ Traditional Chinese)もしくは両言語で登記が可能です(英語と中国名は同義の必要なし)。会社名の末に、英語の場合は、「Limited 」、中国語の場合は「有限公司」が付きます。

登記されているか否かは、以下のHPより閲覧が可能ですが、法的に成約があります。

https://www.icris.cr.gov.hk/csci/login_i.do?loginType=iguest&CHKBOX_01=false&OPT_01=1&OPT_02=0&OPT_03=0&OPT_04=0&OPT_05=0&OPT_06=0&OPT_07=0&OPT_08=0&OPT_09=0&username=iguest

3.登録住所 (Registered Address

香港法上、法人の登録住所は香港域内に存在する必要があります。


4.株主 (Member)

香港法上、株主情報(氏名・住所)の開示が必須で、1名から50名まで株主となれます。個人(18歳以上、香港居民である必要なし)もしくは法人(香港法人・外国法人)が株主となれます。

株主追加には、第三者割当増資(Allotment)か発行済み株式の一部譲渡 (Transfer)です。第三者割当増資もしくは譲渡後、取締役会にて株主として迎え入れる旨機関決定(議事録調印)し、以後、会社秘書が法定帳簿に記帳します。

当局対応として、第三者割当増資の場合、所定のNSC1にて法人登記所に通知し、株式譲渡する場合には、譲渡証の一式 (Instrument of Transfer及びBought Sold Notes)に対して印紙を取得する為税務当局(Inland Revenue)の承認が必要です


5.取締役・役員 (Director)

最低1名以上(以後、無制限選任可能)、個人(18歳以上)・法人(香港法人・外国法人)、どちらでも選任可能で、個人の場合は香港居民(ビザ)の必要はありません。氏名の変更、住所変更(引越し)、パスポート更新などがあった場合、変更後14日以内に所定のND2Bにて登記所に通知します(登記費用無料、即日登記)。

取締役の自主的な交代について、辞任届・選任届をそれぞれ選任取締役・新任取締役が行い、取締役会に機関決定され(議事録調印)、その旨所定のND2Aにて 登記所通知します(登記費用無料、即日登記)。株主は年次総会のタイミングで事後承認するのが一般的です。取締役の強制的に退任される場合には、専門家にご相談ください。

6.秘書役 (Company Secretary)

香港居民もしくはTCSP ライセンス保持業者(法人)が選任されるのが必須で、会社法(Companies Ordinance) 上の届出書(年次報告書)の作成・提出、法令要件のモニタリング、グリーンボックス・法定帳簿・議事録等の保管が主な業務です。会社秘書の交代には、辞任届・選任届・議事録に調印し、その旨所定のND2Aにて 登記所通知します(登記費用無料、即日登記)。

7.資本 (Capital

1株あたり1香港ドル以上で上限はありません。日本での法人設立とは対照的に、実際の銀行口座払込(「見せ金」)の必要はなく、現金だけでなく、現物出資も可能です。また、過少資本であっても、特段銀行口座開設に影響はありません。香港ドル以外の通貨(例えば 日本円)でも登記が可能です。

尚、2014年の会社法改正で、授権資本(Authorized Capital )という概念(則ち、発行済み株式でも、会社が譲渡されていない株式を保有する)がなくなり、「発行済み株式=譲渡株式」という整理がなされました。


増資(Capital Increase)について、以下が要件です。

① 割当・増資申込書 (Application for Shares)
② NSC1 (Return of Allotment) 登記所に通知(登記費用無料、即日登記)。
③ 取締役会にて機関決定(議事録調印)
④ 会社秘書にて法定帳簿に記帳

減資 (Capital Reduction)について、従前は裁判所承認が必須でしたが、2014年法改正により、株主総会、所定の登記書類の提出、官報公示等の手続きを経て、減資が可能になりました。詳細について、専門家にご相談ください。

8.設立を証明する書類

① 設立申請書(NNC1)(初年度)
② 年次報告書(NAR1)(2年目以降)
③ 設立証明書(Certificate of Incorporation)
④ 事業証明書(Business Registration )(税務局発行)
⑤ 定款 (Articles of Association)
(2014年改正の旧会社法ではMemorandum of Association)

9.会計監査 (Accounting Audit) ・年次報告書 (Annual Return)・年次総会 (Annual Meeting)

香港法人は、年次で、香港CPA資格のある会計事務所に、会計監査を行ったもらい、監査報告書を発行してもらいます。

手順として、会計年度が終わった翌月もしくは翌々月(3月末締めなら、4月か5月)に税務局から税金申告書(Tax Return)が登録住所に送られてきます。発行後1カ月以内(場合によっては、数か月延長は可能です)にTax Return に財務状況と税金申告額を記入・提出しますが、2万香港ドル以上場合のみ、監査報告書添付でTax Return を提出する必要します(金額が満たさない場合は、監査報告書の添付は必要ありませんが、保管は必須です)。 会計関連書類(監査報告書を含め)の保管期間は7年です。

会計監査のタイミングで、年次総会を行いますが、スタータップ企業の場合、監査法人が用意する議事録に株主が調印することで代用になります。同じタイミングで、年次報告書(NAR1)を法人登記所に提出します。

上記に関わらず(NAR1提出義務以外において)、新設会社の場合は、(年次ではなく)設立後18カ月後にTax Return が送らてきますので、以後、監査、Tax Return 提出・年次総会を行いことができます。

9.閉鎖 

債務が多数ある場合、任意清算と強制清算という方法がありますが、1年以上かかり、清算人を選任する必要があります。

債務が存在しない状態であれば、抹消手続き(Deregistration)により、比較的短時間で可能です。

また、一旦、会社を休眠 (Dormant Company) する方法もあります。

ご不明な点についてはどうぞご相談ください。