こんにちは!香港の公認会計士です。香港でパーソナルアセスメントを活用することで、税金を節約できる可能性があります。今日はあまり知られていないパーソナルアセスメントについて解説します!
パーソナルアセスメントとは
香港の税金は所得に対し源泉地主義(関連記事:香港税務―概要)が採用されており、香港源泉の
- 事業所得
- 給与所得
- 不動産所得
のみ課税されますが、それぞれ異なる方式で算定されています。
そのため、不動産所得税(関連記事:香港税務―不動産所得税)や事業所得税(関連記事:香港税務―事業所得税)には給与所得税(関連記事:香港税務―給与所得税)のようなPersonal Deduction(控除)が適用不可であったり、不動産所得税では不動産購入に係る支払利息の控除が認められていません。一方、パーソナルアセスメントではPersonal Deduction(控除)や当該支払利息の控除が認められています。
パーソナルアセスメントがお得なポイント
パーソナルアセスメントを利用することで、得ることができる主なポイントは以下の通りです。
- 不動産所得税では認められない不動産購入に係る支払利息の控除(不動産課税所得を限度額として)
- 給与所得税では限度額のある自宅用不動産購入に係る支払利息の控除
- 事業の欠損金の他の所得との合算
- 不動産所得税や事業所得税では認められないPersonal Deduction(控除)の適用
- 不動産所得税や事業所得税では認められない低税率の累進課税の適用
事業の欠損金の他の所得との合算については、自身の他の所得と合算した上でも、欠損金が残る場合は、配偶者の所得と合算することが可能です。それでも欠損金が残る場合は次課税年度以降に繰り越しできます(永久繰越)。
パーソナルアセスメントの申請要件
パーソナルアセスメントは誰でも申請できるわけではありません。具体的に、以下の3条件を満たした人が申請できます。
- 個人(自然人)、
- 18歳以上で(両親が死亡の場合は18歳未満でも可)
- 香港永住もしくは一時的居住(結婚している場合は、配偶者も永住もしくは一時的居住)
している場合に申請可能です。
香港永住とは、通常の居住地が香港であることです。
香港に一時的居住とは、
- パーソナルアセスメントを申請する課税年度に180日超香港に滞在、もしくは
- パーソナルアセスメントを申請する課税年度を含む、連続する2課税年度において300日超香港に滞在
を意味します。
パーソナルアセスメントの申請
- パーソナルアセスメントを申請の期限は、パーソナルアセスメントを申請する課税年度の期末日から2年
もしくは
- ①事業所得②給与所得③不動産所得のいずれかの所得の賦課通知書の最終決定日から1ヵ月
のうちどちらか遅い方です。申請は香港の税務局(IRD)に対し①申請レター②BIR60もしく③IR76によって行われなければなりません。用紙は以下のリンクから入手可能です。
https://www.ird.gov.hk/eng/paf/for.htm
結婚している場合は、必ず夫婦合わせてパーソナルアセスメントを行わなければなりません。例えば、夫はパーソナルアセスメントを選択し、妻は給与所得税を選択するといったことはできません。つまり夫婦のすべての所得が合算され税額算定されることに留意が必要です。
この記事を読んで、パーソナルアセスメントでの申請に興味を持っていただければ幸いです。ご質問はいつでも受け付けていますので、どうぞお問い合わせ下さい。