海外使用の翻訳証明 (Certified Translation)とは

法的目的において、翻訳文書を提出する際、翻訳証明もしくは翻訳認証を求められる場合があります。 たとえば海外の外国領事館でビザを申請する場合や、海外政府機関に文書を提出する場合など、認定された翻訳の提供を求められることがよくあります。

例として、出生証明書、結婚証明書、離婚証明書、医療記録が含まれます。また、銀行口座やその他の銀行業務の申請には、多くの場合、認定された翻訳が必要です。

経験則上、政府の省庁は、認証要件に関してかなり一貫性がありません。翻訳が拒否されないようにするには、翻訳を提出する政府機関または機関に、その要件が正確に何であるかを尋ねることが重要です。

翻訳証明には、以下2種類があります。

  • 会社証明書(Company Translation)は、レターヘッドに印刷された正確さの証明書であり、会社の代表者が署名・印鑑が押印されます。この証明書は、翻訳のプリントアウトに添付されています。
  • 宣誓申告(Sworn Declaration) は、公証人に直接出向き、そこで翻訳を提示し、それが真実で正確であることを宣誓します。

Visence Professional Services では、Company Certification とSworn Declaration を提供しています。日語、英語、中国語での対応が可能です。様々な、海外使用翻訳の実績がございます。お気軽にお問い合わせください。

クロスボーダー債権回収に係わるリスク管理

世界的な景気後退より、売掛金等の債権回収が困難になっているというご相談が多くなっています。海外で債権回収について、どのような手続きがあるのでしょうか。

結果からお伝えしますと、「債権回収」に関する教科書があるわけでもなく、必ず回収することができる確立した手法や法制度はございません。

従いまして、ビジネス性と法律手段を上手くバランスをとり回収手段を検討する必要があります。

以下は、債権回収の手段について検討する際に考慮する点です。

  • 債務者との今後のビジネス関係について精査する必要があります。もし、ビジネス関係を継続するのであれば、緩やかな対応が必要になります。

  • 経営難の債務者を精神的に追い込むと、自己破産や高跳びする場合があり、回収不能となる場合があります。なるべく感情的にならず、債務者状況を理解し、慎重な対応が必要です。

  • 債権回収業者や弁護士に委託することは可能ですが、かえって債務者の感情的を逆立て、紛争がエスカレートする場合がありますので注意が必要です。

  • 債権回収に係わる法的手段は、原則的には「最終手段」になりますので、法的手段実行後は関係修復は不能と考えます。

  • 未払いの催促だけでは解決策を見いだせないので、未払い以外の責任追及を精査する必要があるます。例えば、債務者との資本関係があれば、会社法上、債務者が取締役としての義務がある場合があります。また、株主として帳簿閲覧権を行使することも可能です。


上記から、債権回収は非常に難しいプロセスであることがわかります。従いまして、契約締結時並びにビジネス関係を継続する上で、回収できなくなることを想定してリスク管理を行う事が重要です。契約締結時のリスク管理で有効なのは、契約書に紛争解決方法として「国際仲裁」を記載しておく事も有効です。 以下は、海外における一般的債権回収手段のステージです。 債権回収につきまして、Visence Professional Services (https://visence.info/) にご相談ください。

【香港活用方法】中国投資・進出について(2022年2月18日現在)

最近、海外事業を展開するビジネスマンから「米中対立が収束した後、中国経済圏はどのようになるか」という照会があります。国際政治情勢は欧州・アジアにて激化し、不確実性が高まっていますが、いつか収束するはずです。本稿では、地政学的リスクが収まることを前提に、事実に基づき、中国経済圏の展望について冷静に分析し、国際金融都市「香港」の活用方法とリスク回避方法についてご紹介いたします。

以下が中華圏・香港の状況です。

  • 中国経済圏は(国土が広くGDPの元データの質について諸説ありますが)世界第2位の経済圏で、現在鈍化傾向であるものの成長を続けています。
  • 不動産バブルが崩壊しましたが、主要都市の経済は成熟し、中国中央政府は「共同富裕」(Common Prosperity) による貧困層への資産分配(Wealth Distribution)を打ち出しました。
  • 米国シリコンバレーを見本に、深圳はAIやIOT分野のハブとなり投資活動が盛んになりました。欧米企業や日本企業がなかなか入り込めないのが現状です。
  • 政治制度について、時の政権により左右されますが、中国は「社会主義」に基づくため、欧米諸国や日本の「民主主義」制度とは異なります。台湾関係を含め、欧米諸国・日本との外交的な衝突は絶えません。

    香港について
  • 2014年頃より民主化デモがスタートし、2019年秋には激化しました。当局はデモ活動は外国勢力に影響されていると考え、外国勢力を排除するための「国家安全法」が施行されました。その後、扇動行為や国家反逆罪の取締が強化され、コロナ・オミクロン蔓延にも後押しされ、デモ活動は沈静化しました。
  • 英国との共同宣言(Joint Declaration)に基づく一国二制度は2047年に終了しますが、中央政府は以後の香港の在り方について一定の影響を与えています。英国より返還された1997年頃と同様に、多くの香港人が、北米、英国、欧州、日本、台湾などに移住しています。
  • Google 等の欧米企業や日本企業は、香港撤退・縮小を検討しますが、国際金融機関の香港拠点はアジアでの投資活動を支えています。他方、香港域内のデータセンターに対する投資は以前より増加傾向にあります。

上記事実に基づき、中立的なコメントをいたします。

メディア・ソーシャルメディアにより影響された感情論は、中国投資を避ける傾向にあるなか、対中投資の在り方(一部撤退、リスク回避手段等)を見直す必要がありますが、海外展開するビジネスが世界第二位の経済圏に(完全に)背を向けるのは、正しいビジネス判断であるのか著者は疑問を感じています。 

香港の隣町である深圳は、シリコンバレーや日本の技術力に大きく影響され、AI・IOTのハブとして成長しましたが、発展経緯、技術革新のスピードは、現地独特の商慣行や人材が寄与しています。中国グレイターベイエリア(China Greater Bay Area) 構想の、動向には今後注視していきたいです。https://www.bayarea.gov.hk/en/home/index.html

「国家安全法」は社会主義国的方針により運用されていますが、「扇動罪」、「国家反逆在」は諸外国の法律とそれほどかわりませんし、香港司法制度の独立性に影響は確認できません。しかしながら、諸外国は国家安全法の運用方法について良く捉えていないため、外交的かつ丁寧に説明し、両者が理解する努力が必要と考えます。同時に、中国大陸の歴史は外国勢力の侵略・影響によって大きく左右されたことから、政治判断やセンティメントに歴史観が影響することは注意すべき点です。

香港人の移住ブーム、一部国際企業の香港撤退は、1997年前(香港中国返還時)の光景と酷似します。しかし、移民ブームを経て、2003年SAR後、香港は中国のゲートウェイとして脚光を集め経済は急回復しました。香港経済にサイクルがあると仮定すると、幾何学的に2019年が経済縮小のどん底であり、そこから成長するかもしれません。コロナ並びに政治情勢が安定すれば、また人材が集まり発展する国際都市となる可能性はあります。

地政学的不安をチャンスと捉える方もいます。米国著名投資家でBridge Water Associates創設者である Ray Dalio氏 は、アリババに追加投資をしています。Dalio氏は親中派として知られますが、現況を機会としてして捉え中国事業家に恩を売る良いタイミングかもしれません。https://www.bloomberg.com/news/articles/2022-01-25/dalio-says-u-s-divisions-pose-risk-for-2024-election-upheaval

中国経済が継続して成長することを想定すると、現段階で中国経済から完全撤退してしまうと、地政学的リスクが改善された際、ビジネス機会を逃す事になってしまいます。一方、地政学的リスクは、投資家やビジネスマンのコントロール下には無いため、代替案(Plan B)は必須です。

引き続き、ゲートウェイであり法人税の低い「香港」を活用するのが合理的ですが、監査義務のないオフショア法人(例 英国バージン諸島、ケイマン諸島、セイシェル)を香港にて「外国法人」登録することで、香港域内の口座開設が容易となります。香港が政治的に影響をうけることに備え、第三国の銀行口座に一定資金をプールしておくことでリスク回避が可能です。

地政学的問題が一日も早く解消されることを願います。香港法人・オフショア法人に関して、Visence Professional Services (https://visence.info/)にご相談ください。



FATF 日本マネロン法制度に関する評価

各国に反マネロン・テロリストファイナンス(AML/CFT)を提言する国際組織FATFは、2021年8月30日付けにて、2021年6月のFATF会議で報告書として、日本のAML/CFTに関するレポート Mutual Evaluationを発行しました。

http://www.fatf-gafi.org/publications/mutualevaluations/documents/mer-japan-2021.html

FATFは日本のAML/CFT体制について以下の通り一定の評価をしています。

  • 日本はマネーロンダリングおよびテロ資金供与と戦う日本の措置は成果を上げていますが、日本のマネーロンダリング防止およびテロ対策資金調達(AML / CFT)フレームワークの有効性を改善する必要があります。
  • 日本当局は、マネーロンダリングとテロ資金供与のリスクをよく理解しており、国に大きなリスクをもたらす分野でのAML / CFT対策の最前線に立っています。
  • マネーロンダリングとテロ資金供与を調査および起訴するための金融インテリジェンスの収集と使用において良好な結果をもたらしています。また、他国当局とも建設的な協力関係にあり、情報共有をしています。

しかしならが、FATFからは以下の批判がありました。

  • 日本のテロ資金供与リスクは低いとはいえ、法執行機関は、暴力団を含む組織犯罪に関連するリスクなどの主要なリスク領域への対処を含め、詐欺や薬物関連の犯罪を伴うことが多い複雑な大規模な事件の収益のロンダリングにさらに焦点を当てる必要があります。当局はまた、犯罪収益の没収への取り組みを強化する必要があります。
  • 日本当局は、拡散融資のリスクについて企業へのアウトリーチを積極的に行っていますが、制裁回避の無意識の促進を防ぐ措置の効果的な実施を確実にする必要があります。
  • 仮想資産とそのサービスプロバイダーに関連するリスクに対処するために強力な行動をとっており、現在、それらの悪用を防ぐための対策を完全に実施する必要があります。
  • 日本当局は、顧客のデューデリジェンスを含むマネーロンダリングやテロ資金供与を防止するための金融機関および非金融機関の要件を改善する取り組みを優先し、法人や取り決めの誤用を防ぐために有益な所有権情報へのアクセスを改善する必要があります。

今後、日本に係わる海外送金を含め、金融機関においてAML/CFT体制が強化されることになると予想します。

香港Companies Registry  個人情報保護制度

2021年8月16日付け香港Companies Registry発行のCircular (通達)にて、個人情報保護を強化するため、取締役もしくは会社秘書が自然人の場合(法人ではなく)、香港ID(もしくはパスポート)と実際に居住している住所に関しまして、開示保留(マスキング)を選択することができる制度が開始されました(香港IDもしくはパスポートの情報並びに住所を総称して「当該情報」といいます)。

以下3Phaseにて導入されます。

Phase 1 2021年8月23日
Phase 2 2022年10月24日
Phase 3 2023年12月27日

8月23日以後(Phase 1開始後)、香港IDの開示保留を選択するのであれば、最初の4文字(数字を含む)のみを記載する事になります。住所の開示保留を選択するのであれば、取締役もしくは会社秘書を選任した法人(以下、「当該法人」いいます)の登録住所を記入します。

現在 導入後
香港ID     A123456(7) A123
パスポート   ABCD1234567 ABCD12
住所      実際に居住する住所 連絡先住所として法人の登録住所

しかし、本制度を活用するには条件として、当該情報は当該法人にて厳重に管理される必要がありますので、今後警察当局がマネロン調査の対象となると立ち入る事があるかもしれません。また、今後、保管が適切に行われているか確認するため、当該法人に対して臨店検査が行われる可能性は否定できません。

Phase 2が開始されると、当該情報を留保するのではなく、情報自体留保する事が可能になります。その代わりに、当該法人はCompanies Registry に対して当該情報を提出することになります。

Phase 3が開始されると、個人情報の所有者 (Data Subject 即ち本人) はCompanies Registryに届け出をすることで開示留保が可能のなります。

しかし、情報開示が保留されると、金融機関等はどのように本人確認を行うのでしょうか。本人、代理人、株主、管財人(倒産企業)、捜査当局、弁護士、公認会計士、金融機関は、Companies Registryに申請することで、当該情報にアクセスする事が可能です。

尚、株主の名前と住所は設立証明書並びに年次報告書に記載されますが、本通達では非該当になります。

香港には民事再生法・コーポレート・レスキュー法制が存在しない!?

香港法人を閉鎖するには大きくわけて2つの方法があります。

(1)支払い能力がある場合は、De-registration(抹消)という手続きになります。税務局(Inland Revenue Department)からのLetter of No Objectionという承認証書を取得後、会社登記所(Companies Registry)に抹消申請をし、3か月間の官報公示期間を経て完了します。通常は、8か月程で完結しますが、コロナ禍において手続きに大幅な遅延が発生しています。


(2)支払い能力がない場合は、清算Liquidation(「Winding-up」ともいいます)の手続きが必要です。大きく分けて3種類あります。

(ア)Compulsory Winding-up (第三者による強制破産)
(イ)Member Voluntary Wind-up (株主による自主的倒産)
(ウ)Creditor Voluntary Winding-up (債権者による自主的倒産)

清算手続きは、非常に複雑で、Official Receiver’s Officeという政府機関に申立後、( Liquidator (清算人)の選任、監査、債権者への通知・協議、官報公示等の手続きを経て1年以上かけて行われます。また、コロナ禍において、Official Receiver’s Officeが1月末から4月末まで閉鎖していて、相当数の未対応案件が積み上がっていて、遅延が予想されます。

しかし、上記(1)と(2)は抹消・清算手続きになり、あくまでも香港法人が閉鎖することを前提にしていて、債務超過になっても会社を継続したい場合は適用されません。 それでは、香港には民事再生法が存在するのでしょうか?

香港は英国植民地であったため、母法である英国法についてご説明します。英国ではコーポレート・レスキューという民事再生制度が確立されています(米国法のチャプター11と性質上同等)。債務超過になったものの事業再建を望む債務者は、裁判所に申請後、オートマチック・ステイ (Automatic Stay)により財産は保全され、債権者による回収行為や強制執行の行為は禁止されため、債務者は 通常の業務を続けることができます。

それでは、香港にはコーポレート・レスキュー法制は存在するのでしょうか? Companies (Winding Up and Miscellaneous Provisions) Ordinance(香港法第32章)において、残念ながら、コーポレート・レスキューを裁判所が関与する仕組みが確立されていません。現状では、民間レベルの和議による会社再建にとどまります。背景として、以前より制定に向けて何度か議論されましたが、一部の業界団体(金融関連)の強い反対により、コーポレート・レスキュー法が制定することはありませんでした。

しかし、ここ数年で、ライバルのアジア金融都市シンガポールにて、コーポレート・レスキュー法制が整備されたり、コロナ恐慌による会社再編が加速することが予測されるため、本年10月より立法会にて審議される予定です。

香港法人の会社閉鎖・組織再編・民事再生法について、ご質問がありましたら、Visence Professional Services にご相談ください。

香港雇用法 正当理由なしの解雇もしくは不当な雇用条件変更


雇用法(香港法第57章)の第32K条によると、従業員が24カ月以上勤務し同法Schedule 1の「継続雇用」(所謂「418」に該当)とみなされ解雇もしくは雇用条件の変更がなされた場合、従業員として、以下について訴訟を提起することができます。

(1)正当な理由なく解雇されたとする訴え
(2)不当な雇用条件の変更に関する訴え

従いまして、継続雇用となる場合注意が必要ですが、実務では、適切な退職金の支払い以上において第32K条が使用されることはありません。

「継続雇用」は、4週間以上18時間以上雇用が継続される場合に該当します(なので、「418」)。

解雇が正当理由なしに行われるケースは、以下の何れかに該当した場合です。

(1)従業員の怠慢

(2)職務遂行能力

(3)会社規模縮小

(4)法令にて要求される場合

(5)その他重大な理由

裁判所は全体的な状況を勘案し、判断し、上記に該当しない場合の解雇は、不当解雇(Unreasonable Dismissal)となり、復職もしくは退職金の支払いが行われます。

裁判所が不当解雇と判断する場合には、復職がされない場合、最高HK$150,000までの罰金が科せられます(従業員が受け取る事ができます)。

香港ノミニー(Nominee) 制度のまとめ

香港ノミニー制度を活用すると、低コストで起業が可能になり、将来の節税対策や将来の資産運用に備えることができます。


香港をビジネスの拠点とする利点をまとめます。
(1)香港法人( Private Limited Company) の設立コストは日本での株式会社設立より安く、法人登記料は香港$2,000(3万円程度)と委託手数料を含めると総額15万円程。

(2)資本金は香港1ドルから可能で、資本額は自己申告(口座振り込み必要なし)。

(3)香港外収入の法人税課税は0%。香港域内収益は、法人税16.5%(所得$2,000,000以下は8.25%)。消費税、付加価値税、相続税なし。

(4)英国法(Common Law) を起訴とする国際金融都市である香港にい、Fiduciary Business (フィヂューシャリー ・ ビジネス) 所謂「受託ビジネス」が盛んで、ノミニーの法整備が整っていて、信用にかかわるため弁護士法人以外の業者にも2018年よりTCSPライセンス制度。

ノミニーの法的性質について、信託 (Trust)を活用することで、実質的株主が委託者・受益者として決定権を維持しつつ、Nominee Service Provider(以下「Nominee」)を受託者として選任することで、株主として代理登録・権利行使を行う制度を「Nominee Shareholder」 と呼びます。同様に、取締役の権利・義務に関して、実質的株主がNominee を選任し、取締役の代理登録・権利行使・義務履行を行う制度を「Nominee Director」と呼びます。

詳細はこちらをご覧ください。https://startuphk.jp/nominee/

香港新型コロナ 労務対策最新情報(2020年3月20日現在)

2020年1月末の政府の非常事態宣言以降、香港では、厳重な感染拡大措置・入国管理が行われました。2000年初頭のSARSの教訓をいかし、感染封込め措置は徹底的に行われ、その結果、他のアジア主要都市と比較し、感染者数は低水準で抑制されています。

今週になり、欧米諸国渡航者の帰国による「逆輸入」の影響で、若干の上昇傾向にありますが、感染者数は256名、死者4名、退院者数98名 となっています。
最新情報:  https://chp-dashboard.geodata.gov.hk/covid-19/en.html

新型コロナによる香港での労務環境も変化しつつありますので、労務法務の整理をします。

1.外出禁止要請

香港政府には、現段階では「外出禁止措置」を強制する法的権限はないため、あくまでも、不要不急の外出や、大人数での集会・食事は避けることを、政府からのお願いする「要請措置」に留めています。

2.従業員は出勤するべき?
2020年1月末に政府の発表により、不要不急の外出を控え、可能な限りテレワークをす るよう要請がありました。公務員に対しては、自宅待機命令が出されました。

中国政府の権限とは対照的に、現段階では香港政府には、民間企業の活動を制限することはできないため、(繰り返しになりますが)あくまでも「要請」という位置づけですので、従業員を出勤するか否かは個々の企業による判断に委ねられます。公務員は3月初旬より徐々に職場に戻るようになっています。

就業規則においてテレワークや自宅待機の定めがない場合において、後述の整理解雇・無給休暇の場合を除き、給与は発生すると考えます。

テレワークをする際、企業の機密情報が漏洩リスクにさらされます。この際、就業規則を見直す必要があるかもしれません。

3.マスクを着用義務化?

香港政府には、公務員以外の香港居住に対して、外出時マスク着用を義務化する権限は現段階ではないため、あくまでも、マスク着用「要請」になりますが、殆どの香港居民は感染リスクについて敏感であるため、外出する際マスクを着用しています。

それでは、職場で従業員にマスク着用を義務化する根拠はあるのでしょうか?香港雇用法(Employment Ordinance)において、直接的にマスク着用の義務はありませんが、雇用主として従業員の安全を守る義務があります。従いまして、従業員に感染した場合や、会社が入るビルにおいて感染者があった場合等の非常事態において(以下、「職場での非常事態」)、安全確保のため、マスク着用・帰宅することは法的には可能と考えます。

他にも、企業がはいるビルの管理規則 (Deed of Mutual Covenant (DMC))が根拠となりえます。DMCにより、管理権限並びに安全管理等はビル管理会社に委ねられているため、ビル管理会社の判断で、入館する際のマスク着用・検温を義務づけることが法的に可能になります。殆どの商業ビルでは、マスク着用・検温が義務付けられています。

マスク着用を義務化すると、従業員から雇用主に対して、マスク供給・マスク費用建て替えの要請があると考えます。これは妥当な要請と考えますが、市中のマスク事情を勘案し、マスク提供を義務化するのは雇用主に著しい負荷がかかります。現行の香港雇用法上では、マスクの提供義務はありませんが、上記の「職場での非常事態」に該当する場合には、提供が必要と考えます。現在香港でのマスク需要は安定していますが、多くの富裕層や慈善団体から、マスクが寄付されるケースがあります。

この機会に、就業規則をレビューし、マスク義務を明文化するべきと考えます。 例えば、検温について個人情報保護法の注意が必要です。37.5度の体温があるかいなかを確認するだけであるなら特段問題ありませんが、個々の従業員の体温データは「個人情報」となりえますので、検温状態が記帳される場合、厳密には個人情報保護法の観点から同意書が必要になります。

4.整理解雇、無給休暇、休業補償、

急激に景気が悪化するなかで、整理解雇をする雇用主も多くなっております。職金等の詳細は、こちらご覧ください。https://startuphk.jp/introductory/

雇用主から無給休暇 (Unpaid Leave)の要請がある場合があります。当然ながら、新型コロナに感染した場合には「病欠」扱いになり(この際、雇用が終了されると、雇用主は刑事罰を負います。詳細はこちらまで、https://startuphk.jp/termination/)、有給休暇が残っていれば、有給消化することになります。

整理解雇・病欠以外の場合において、雇用法上、無給休暇の扱いについて規定がないため、個々の従業員がその要請に承諾すれば、雇用法上有効になります。しかし、無給休暇を強制されその後退職になった場合には、Constructive Dismissal (退職強要)の問題が発生する可能性があります。 詳細はこちらをご覧ください。https://startuphk.jp/constructive-dismissal/

香港法上、休業補償はありませんが、緊急措置として、諸条件に充足する香港の永住居民に対して、2020年5月頃現金(香港$10,000)がFPS(Free Payment System)により支給される予定です。