
- 香港でのM&Aを日本語で徹底サポートします。
- 経験豊かな日本人の香港法弁護士と香港公認会計士がサポートします。
香港でのM&Aのメリットとは?
日本企業が香港進出を確実に実現するには、香港にてゼロから会社をセットアップし開業するのではなく、香港地場会社(「ターゲット会社」)の株式を買収(以下、「株式譲渡」)することで、そのターゲット会社を傘下にしつつ経営に影響力を保つこと(所謂、「M&A」)が、香港進出の近道となるケースがあります。
また、M&Aではなく、ターゲット会社の株式を一部譲受ける合弁スキームも効果的に香港進出を果たす方法でもあります。
反対に、近年景気後退が進む業界においては再編・撤退を余儀なくされ、残念ながら香港にある子会社の株式売却・資産譲渡もしくは親会社との水平・垂直合併をするケースも散見されます(以下、併せて「再編」)。
直接中国投資するのではなく、香港にホールディング会社をかませることで、中国からの配当金は源泉税が少なくて済むなどのメリットを享受できます。
startupHKでは、主要メンバーである香港法弁護士、香港公認会計士が香港でのM&Aを検討している企業・個人の方を支援します。
香港M&Aの実務手続き
香港におけるM&Aや再編等の一般的なスキームについて、法律の観点から整理しつつ、手続や法的書類のテンプレートについて解説します。
Share Transfer (株式譲渡)
株式譲渡は、ターゲット会社の発行済み株式の全部若しくは一部を第三者に譲渡する方法です。
株主として支配権移譲が可能になる50%ですので(即ち、50%超株式を保有する株主には、株主総会にて取締役解任・選任が可能になります)、M&Aをする際にはターゲット会社の50%超の株式を取得するのが一般的です。
合弁スキームにおいては、保有比率を発行株式50%以下に維持しつつマイノリティー投資家が登場し、大株主にオペレーションを任せるケースもあります。
一般的に株式譲渡契約に必要な書類
- S&P Agreement (Sales and Purchase Agreement)(株式譲渡契約書)
案件の性質に影響されS&Pの形式は様々ですが、法律事務所やコンサルティング会社が保有するテンプレートを基に交渉を進めます。実務において、交渉・ドラフティングにおいて一番時間を費やす契約書といえます。
- ターゲット会社株主の決議書 (Shareholder Resolution)
既存株主が株式譲渡について決議します。
- ターゲット会社の 取締役決議 (Board Resolution) (テンプレートをダウンロードする)
重要な項目は取締役会として株式譲渡について承認し、株式譲渡に関連する全ての手続きについて個々の取締役に移譲することです(例:株券の発行、株主名簿の記帳、等)。
- Instrument of Transfer とBought and Sold Notes (テンプレートをダウンロードする)株式譲渡取引を証明する書類で、S&Pに添付されるケースが殆どで、譲渡人・譲受人相互がサインします。香港内で取引をした場合(上記書類がサインされた場合)印紙税(Stamp Duty)を2日以内にInland Revenue(税務局)に収める必要がありますので注意が必要です。(https://www.ird.gov.hk/eng/pdf/pn04a.pdf)
- その他書類
M&A取引は多種多様ですので一概に言えませんが、例として、人事異動が必要な場合には、完了日までに譲受人からサイン済みの取締役の辞表を徴収する場合があります。
株券発行や株主名簿の記帳など、会社秘書役と連携する必要があります。
一般的なM&Aについての注意点
株式譲渡に囚われず、M&Aには必ずリスクは介在しますので、取引前にDue Diligenceを時間を掛けておこないます。会計・税務・法務の専門家のアドバイスを必ず求めるようにしましょう。
例えば、株主が変更することで、オフィスリースに影響する場合があります。また、ターゲット会社がSFC(証監曾)の証券ライセンスを保持する企業の場合、M&A後はSFCの事前許可がないと事業ができない場合があります。
尚、株式譲渡はCompanies Registry (公司註冊處)に通知する必要はありません。
株式新規発行について
株式の新規発行 (Allotment)増資する方法(増資してもAllotment しない場合もあります)で、追加株式を発行し既存株主に対する割当する場合と、第三者への割り当てする2パターンあります。勿論、合弁スキームにおいて、マイノリティー株主を維持する場合はそれに限りません。
M&Aでは、前述の追加発行株式を第三者(買収者)に割当てますが、株式譲渡と同様に、割当株式が発行株式の50%超の必要があります。
一般的に新規株式発行第三者割当に必要な書類
- Subscription Agreement
S&P Agreementと同様に、実務では交渉・ドラフティングにおいて一番時間を費やす契約書といえます。
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ターゲット会社の株主決議書(Shareholder Resolution)
既存株主の株主決議によって取引を承認することを証明します。
- ターゲット会社の 取締役決議 (Board Resolution)
- Application of Shares (テンプレートをダウンロードする)
- NAC1に取締役がサインし、Companies Registry に提出します。
NAC1はCompanies Registryの以下からダウンロードできます。
https://www.cr.gov.hk/en/companies_ordinance/docs/NSC1_fillable.pdf
株券発行や株主名簿の記帳など、会社秘書と連携する必要があります。
発行体・ターゲット会社によるShare Repurchase
例えば、香港の地場会社と日本企業が持株会社を設立したと仮定しますが、この合弁スキームを解消する際、持株会社が株式を買取ケースがあります (Share BuybackやShare Repurchaseと呼びます)。買取された株式は、香港法上キャンセルされ、その分発行式株式が減少します。
一般的にShare Repurchase に必要な書類
- Repurchase Agreement
S&P Agreementと同様に、実務では交渉・ドラフティングにおいて一番時間を費やす契約書といえます。
- ターゲット会社の株主決議書(Shareholder Resolution)
既存株主の株主決議によって取引を承認することを証明します。
- ターゲット会社の 取締役決議 (Board Resolution)
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Instrument of Transfer とBought and Sold Notes
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NAC2に取締役がサインし、Companies Registry に提出します。
NAC2はCompanies Registryの以下からダウンロードできます。
https://www.cr.gov.hk/en/companies_ordinance/docs/NSC1_fillable.pdf
株券処理や株主名簿の記帳など、会社秘書と連携する必要があります。
Share Repurchase についての注意点
Share Repurchaseが行われるケースとして、合弁スキームの業績が悪いケースがあります。そういった場合、財務状況について注意をする必要があります。配当可能な利益(Distributable Profits) が存在せず、資本よりShare Repurchaseが行われる場合、特別な手続きが必要になりますので、専門家にご相談ください。
Asset Transfer(資産譲渡)
会社株式の取引は行われないですが、会社の資産・事業を譲渡する場合があります。
一般的に資産譲渡契約に必要な書類と手続き
- Asset/Business Transfer Agreement (資産譲渡契約)
- Business Transfer Ordinance (香港法第49章)による新聞広告の事前掲載と官報の掲載
新聞広告は中文2紙。英文1紙に掲載する必要があります。掲載が認められる新聞は以下の通りです。
Chinese Newspapers
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English Newspapers
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Sing Tao Daily |
South China Morning Post |
Wen Wei Po |
The Standard |
Oriental Daily News |
Weekend Standard |
Sing Pao Daily News |
Quamnet.com |
Ming Pao Daily News |
Finet Newswires |
Hong Kong Economic Journal |
irasia.com |
Hong Kong Daily News |
International Herald Tribune |
Hong Kong Commercial Daily |
China Daily Hong Kong Edition |
Hong Kong Economic Times |
The Financial Times |
Ta Kung Pao |
The Wall Street Journal Asia |
Apple Daily |
etnet.com.hk |
The Sun |
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Quamnet.com |
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etnet.com.hk |
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新聞広告の見本は以下のような形になります。

資産譲渡をする場合の注意点
資産譲渡をする場合、譲渡契約によって、必ずしも譲渡人が保有していた権利・義務が譲受人に譲渡しない場合があります。
例えば、譲渡人はオフィスリースを含む全ての事業を譲受人に譲渡しようとします。資産譲渡契約には、契約的地位の移転を謳いますが、実際のところオフィスリースは譲渡人と大家の契約でありますので、大家の承諾なくして譲受人が当該オフィスを占有することは不可となる可能性があります。
契約や法務Due Diligenceについては専門家にご相談ください。
Amalgamation (水平・垂直合併)
Amalgamation (合併)とは、香港企業のグループ内での完全子会社同士の合併・再編で、合併後は消滅企業の権利義務や株主は承継会社に移行され、消滅会社は清算をせず自動的に消滅します。
香港での会社清算手続きは1年以上かかりまた清算人(通常監査法人)に多額の報酬をはらう必要があるため時間とコストがかかります。
背景として、2014年に施行された改訂版会社法(香港法第622章)により、裁判所の許可を必要としない水平・垂直合併が可能になりました。
水平合併と垂直合併のイメージは以下です。尚、複数の会社を同時に合併することも可能です。
水平合併

垂直合併

Amalgamation の手続きは以下になります。
- 株主の特別決議(Special Resolution)
- 取締役が合併・消滅する会社について支払い能力があることをしめすステートメントを発行する。
- 債権者と公衆に合併があること の事前通知。
Amalgamationの詳細について専門家にご相談ください。
香港のM&Aメリットを活用して、迅速な進出を
香港での会社設立は大変スピーディーに進めることができます。ただし、会社設立がすぐできることと、ビジネスを軌道に乗せることは当然ながら異なります。
香港会社のM&Aが、香港進出の近道となるケースがあります。香港でのM&Aに興味があれば、どうぞお問い合わせ下さい。
なお、香港のM&A実務で使用するターゲット会社の取締役決議 (Board Resolution) 、Instrument of Transfer 、Bought and Sold Notes 、Application of Sharesのテンプレートをご用意しました。必要な方は以下から申し込みの上、ダウンロードしてください。