香港会社管理業務サポート

  • 事業会社における管理業務経験が豊富な香港法弁護士と香港公認会計士が、会社管理業務を担当します
  • 日本人の香港法弁護士と香港公認会計士が担当します

香港における会社管理業務サポート概要

香港で法人設立した後には、日々会社を管理しなければなりません。
管理業務の中には、下記のように日本からの管理が難しいものもあります。

具体的には以下のようなものがあげられます。

  • 銀行口座・入出金管理
  • 監査・税務申告管理
  • その他申告管理
  • 人事・労務管理
  • 日常業務管理

会社管理に豊かな経験を持つ香港法弁護士と香港公認会計士が、貴社の会社管理を担当
します。必要に応じて取締役にも就任致します。取締役は香港法への遵守が求められます。企業の適切な運営に寄与するとともに、銀行口座開設や日々の多く発生するトラブルについても適切な対応・助言を行います。

香港での会社業務サポート実績

  • 日系金融サービス会社
    業務見える化、業務の効率化、人事制度改革
  • 日系仮想通貨サービス会社
    KPI管理、銀行との折衝、監査法人対応
  • 日系飲食チェーン運営会社
    税務対応、内部統制構築、会計業務構築

会社業務サポート料金

会社管理サポート費用

  • 1社/1ヵ月5,000香港ドルから
    管理サポートの内容により料金が変わります。

興味の有る方は以下のフォームからお問い合わせ下さい。

    eDiscovery支援、トレーニングサービス

    • アジアの国際都市、香港でeDiscovery支援します。
    • 希少なeDiscovery人材の育成、トレーニング、法律事務所とのコーディネート業務を引き受けます。

    増える海外での紛争とeDiscovery

    日本企業の海外展開が加速する中、近年、現地子会社が海外にて紛争や民事訴訟に巻き込まれることが多々あります。

    特に最近、米国では、集団訴訟(例:三菱UFJ と三菱信託銀行が巻き込まれたPricing Fixing事件やパテントロールが提訴する特許侵害事件 (例:中外製薬)が話題となりました。

    また、海外腐敗行為防止法(Foreign Corrupt Practices Act)という米国法に則り、日本企業であっても米国市場と関連性のある場合、海外で賄賂などの腐敗行為を行った場合は、米国政府により刑罰が下されます。たとえば2014年丸紅、2015年日立などで刑罰が下った例があります。

    従わない場合、米国での事業はできなくなります。

    eDiscoveryって何?

    米国には、優秀弁護士を抱える法律事務所が多数あり、費用・時間を掛ければ紛争解決できるのが一般的な印象ですが、実際のところは準備手続であるDiscoveryというプロセスにより費用・時間が掛かるケースがあります。

    Discoveryとは訴訟準備の一環で訴訟当事者が関連書類を相手方に提出するプロセスのことですが、近年のFederal Rules of Civil Procedure の改正により、電子データメール、電子データ、録音・録画等を含む全ての電子データ)で関連性のある文書の調査・解析・保管が義務付けられました。

    この電子データ解析業務をElectronic DiscoveryもしくはeDiscoveryと呼びます。

    eDiscoveryの技術革新と社内調査としての活用

    eDiscovery専用ソフト(キーワード検索などで、ヒットした文書のみを抽出しハイライトする)やAIの技術革新により、解析スピードと効率化が進んでいて、競争が激化するなか、専用ソフトの価格は下がる傾向にあります。

    アジアでは、米国に比べ訴訟が少なくeDiscoveryの調査・解析・保管義務は課されていませんが、eDiscovery技術を活用し規制当局の調査及び大企業の社内調査(自発的に行う社内のコンプライアンス調査)を行うケースが年々増えています。

    eDiscovery人材の必要性

    技術革新が進んでもeDiscovery技術には限界があり、人が介在しチェックする必要があります。また、日本企業のような海外展開しつつ、日本語で社内コミュニケーションを行う企業が巻き込まれるeDiscovery案件において、バイリンガルで且つ法律知識(文書確認業務に限らず、法律的分析が必要とされる場合があります)を有する解析人材が必要となります。

    しかし、eDiscoveryのトレーニングを受けた日本語・英語のバイリンガル人材は米国には少なく、費用が掛かります。そのため、香港などアジアにある大手法律事務所がコーディネーターとなり、香港や日本などの主要都市で人材調達やトレーニングをし、日本企業が関わるeDiscovery案件の文書解析業務を行うケースが増えています。

    startupHKでは様々な紛争解決(米国訴訟、規制当局対応、社内調査等)にお役に立てるサービスをご提供できます。当社の主要メンバーには国際弁護士が在籍しています。専門家のプラットフォームにて人材を調達し、eDiscovery、社内法務に精通する国際弁護士が専門コンサルタントとなりトレーニングを行い、必要であれば法律事務所等との調整役を行います。

    eDiscoveryに興味のある方はどうぞ以下のフォームからお問い合わせ下さい。

      香港でのM&A支援ーそのメリット

      • 香港でのM&Aを日本語で徹底サポートします。
      • 経験豊かな日本人の香港法弁護士と香港公認会計士がサポートします。

      香港でのM&Aのメリットとは?

      日本企業が香港進出を確実に実現するには、香港にてゼロから会社をセットアップし開業するのではなく、香港地場会社(「ターゲット会社」)の株式を買収(以下、「株式譲渡」)することで、そのターゲット会社を傘下にしつつ経営に影響力を保つこと(所謂、「M&A」)が、香港進出の近道となるケースがあります。

      また、M&Aではなく、ターゲット会社の株式を一部譲受ける合弁スキームも効果的に香港進出を果たす方法でもあります。

      反対に、近年景気後退が進む業界においては再編・撤退を余儀なくされ、残念ながら香港にある子会社の株式売却・資産譲渡もしくは親会社との水平・垂直合併をするケースも散見されます(以下、併せて「再編」)。

      直接中国投資するのではなく、香港にホールディング会社をかませることで、中国からの配当金は源泉税が少なくて済むなどのメリットを享受できます。

      startupHKでは、主要メンバーである香港法弁護士、香港公認会計士が香港でのM&Aを検討している企業・個人の方を支援します。

      香港M&Aの実務手続き

      香港におけるM&Aや再編等の一般的なスキームについて、法律の観点から整理しつつ、手続や法的書類のテンプレートについて解説します。

      Share Transfer (株式譲渡)

      株式譲渡は、ターゲット会社の発行済み株式の全部若しくは一部を第三者に譲渡する方法です。

      株主として支配権移譲が可能になる50%ですので(即ち、50%超株式を保有する株主には、株主総会にて取締役解任・選任が可能になります)、M&Aをする際にはターゲット会社の50%超の株式を取得するのが一般的です。

      合弁スキームにおいては、保有比率を発行株式50%以下に維持しつつマイノリティー投資家が登場し、大株主にオペレーションを任せるケースもあります。

      一般的に株式譲渡契約に必要な書類

      1. S&P Agreement (Sales and Purchase Agreement)(株式譲渡契約書)
        案件の性質に影響されS&Pの形式は様々ですが、法律事務所やコンサルティング会社が保有するテンプレートを基に交渉を進めます。実務において、交渉・ドラフティングにおいて一番時間を費やす契約書といえます。
      2. ターゲット会社株主の決議書 (Shareholder Resolution)
        既存株主が株式譲渡について決議します。
      3.  ターゲット会社の 取締役決議 (Board Resolution)  (テンプレートをダウンロードする)
        重要な項目は取締役会として株式譲渡について承認し、株式譲渡に関連する全ての手続きについて個々の取締役に移譲することです(例:株券の発行、株主名簿の記帳、等)。
      4. Instrument of Transfer とBought and Sold Notes  (テンプレートをダウンロードする)株式譲渡取引を証明する書類で、S&Pに添付されるケースが殆どで、譲渡人・譲受人相互がサインします。香港内で取引をした場合(上記書類がサインされた場合)印紙税(Stamp Duty)を2日以内にInland Revenue(税務局)に収める必要がありますので注意が必要です。(https://www.ird.gov.hk/eng/pdf/pn04a.pdf
      5. その他書類
        M&A取引は多種多様ですので一概に言えませんが、例として、人事異動が必要な場合には、完了日までに譲受人からサイン済みの取締役の辞表を徴収する場合があります。

      株券発行や株主名簿の記帳など、会社秘書役と連携する必要があります。

      一般的なM&Aについての注意点

      株式譲渡に囚われず、M&Aには必ずリスクは介在しますので、取引前にDue Diligenceを時間を掛けておこないます。会計・税務・法務の専門家のアドバイスを必ず求めるようにしましょう。

      例えば、株主が変更することで、オフィスリースに影響する場合があります。また、ターゲット会社がSFC(証監曾)の証券ライセンスを保持する企業の場合、M&A後はSFCの事前許可がないと事業ができない場合があります。

      尚、株式譲渡はCompanies Registry (公司註冊處)に通知する必要はありません

      株式新規発行について

      株式の新規発行 (Allotment)増資する方法(増資してもAllotment しない場合もあります)で、追加株式を発行し既存株主に対する割当する場合と、第三者への割り当てする2パターンあります。勿論、合弁スキームにおいて、マイノリティー株主を維持する場合はそれに限りません。

      M&Aでは、前述の追加発行株式を第三者(買収者)に割当てますが、株式譲渡と同様に、割当株式が発行株式の50%超の必要があります。

      一般的に新規株式発行第三者割当に必要な書類

      1. Subscription Agreement
        S&P Agreementと同様に、実務では交渉・ドラフティングにおいて一番時間を費やす契約書といえます。
      2. 
ターゲット会社の株主決議書(Shareholder Resolution) 
既存株主の株主決議によって取引を承認することを証明します。
      3. ターゲット会社の 取締役決議 (Board Resolution)
      4. Application of Shares (テンプレートをダウンロードする)
      5. NAC1に取締役がサインし、Companies Registry に提出します。
        NAC1はCompanies Registryの以下からダウンロードできます。
        https://www.cr.gov.hk/en/companies_ordinance/docs/NSC1_fillable.pdf

      株券発行や株主名簿の記帳など、会社秘書と連携する必要があります。

       発行体・ターゲット会社によるShare Repurchase

      例えば、香港の地場会社と日本企業が持株会社を設立したと仮定しますが、この合弁スキームを解消する際、持株会社が株式を買取ケースがあります (Share BuybackやShare Repurchaseと呼びます)。買取された株式は、香港法上キャンセルされ、その分発行式株式が減少します。

      一般的にShare Repurchase に必要な書類

      1. Repurchase Agreement
        S&P Agreementと同様に、実務では交渉・ドラフティングにおいて一番時間を費やす契約書といえます。
      2. ターゲット会社の株主決議書(Shareholder Resolution) 
既存株主の株主決議によって取引を承認することを証明します。
      3. ターゲット会社の 取締役決議 (Board Resolution)
      4. 
Instrument of Transfer とBought and Sold Notes
      5. NAC2に取締役がサインし、Companies Registry に提出します。
        NAC2はCompanies Registryの以下からダウンロードできます。
        https://www.cr.gov.hk/en/companies_ordinance/docs/NSC1_fillable.pdf

      株券処理や株主名簿の記帳など、会社秘書と連携する必要があります。

      Share Repurchase についての注意点

      Share Repurchaseが行われるケースとして、合弁スキームの業績が悪いケースがあります。そういった場合、財務状況について注意をする必要があります。配当可能な利益(Distributable Profits) が存在せず、資本よりShare Repurchaseが行われる場合、特別な手続きが必要になりますので、専門家にご相談ください。

       Asset Transfer(資産譲渡)

      会社株式の取引は行われないですが、会社の資産・事業を譲渡する場合があります。

      一般的に資産譲渡契約に必要な書類と手続き

      1. Asset/Business Transfer Agreement (資産譲渡契約)
      2. Business Transfer Ordinance (香港法第49章)による新聞広告の事前掲載と官報の掲載

        新聞広告は中文2紙。英文1紙に掲載する必要があります。掲載が認められる新聞は以下の通りです。

        Chinese Newspapers
        English Newspapers
        Sing Tao Daily South China Morning Post
        Wen Wei Po The Standard
        Oriental Daily News Weekend Standard
        Sing Pao Daily News Quamnet.com
        Ming Pao Daily News Finet Newswires
        Hong Kong Economic Journal irasia.com
        Hong Kong Daily News International Herald Tribune
        Hong Kong Commercial Daily China Daily Hong Kong Edition
        Hong Kong Economic Times The Financial Times
        Ta Kung Pao The Wall Street Journal Asia
        Apple Daily etnet.com.hk
        The Sun
        Quamnet.com
        *
        etnet.com.hk
        *

        新聞広告の見本は以下のような形になります。

      資産譲渡をする場合の注意点

      資産譲渡をする場合、譲渡契約によって、必ずしも譲渡人が保有していた権利・義務が譲受人に譲渡しない場合があります。

      例えば、譲渡人はオフィスリースを含む全ての事業を譲受人に譲渡しようとします。資産譲渡契約には、契約的地位の移転を謳いますが、実際のところオフィスリースは譲渡人と大家の契約でありますので、大家の承諾なくして譲受人が当該オフィスを占有することは不可となる可能性があります

      契約や法務Due Diligenceについては専門家にご相談ください。

      Amalgamation (水平・垂直合併)

      Amalgamation (合併)とは、香港企業のグループ内での完全子会社同士の合併・再編で、合併後は消滅企業の権利義務や株主は承継会社に移行され、消滅会社は清算をせず自動的に消滅します。

      香港での会社清算手続きは1年以上かかりまた清算人(通常監査法人)に多額の報酬をはらう必要があるため時間とコストがかかります。

      背景として、2014年に施行された改訂版会社法(香港法第622章)により、裁判所の許可を必要としない水平・垂直合併が可能になりました。

      水平合併と垂直合併のイメージは以下です。尚、複数の会社を同時に合併することも可能です。

      水平合併

      垂直合併

      Amalgamation の手続きは以下になります。

      1. 株主の特別決議(Special Resolution)
      2. 取締役が合併・消滅する会社について支払い能力があることをしめすステートメントを発行する。
      3. 債権者と公衆に合併があること の事前通知。

      Amalgamationの詳細について専門家にご相談ください。

      香港のM&Aメリットを活用して、迅速な進出を

      香港での会社設立は大変スピーディーに進めることができます。ただし、会社設立がすぐできることと、ビジネスを軌道に乗せることは当然ながら異なります。

      香港会社のM&Aが、香港進出の近道となるケースがあります。香港でのM&Aに興味があれば、どうぞお問い合わせ下さい。

      なお、香港のM&A実務で使用するターゲット会社の取締役決議 (Board Resolution) 、Instrument of Transfer 、Bought and Sold Notes 、Application of Sharesのテンプレートをご用意しました。必要な方は以下から申し込みの上、ダウンロードしてください。

        香港の商標登録

        • 商標登録の申請から取得まで日本語でのサポート
        • 経験豊かな日本人の香港法弁護士と事業会社で登録業務を行っていたスタッフがサポート

        なぜ香港で商標登録の出願が必要なのか?

        商標を登録すれば、関連する商品やサービスの商標の専有使用権を持つことができるからです。

        他社が権利保有者の同意を得ずに、当該商標と同一もしくは類似の商品または
        サービスに使用した場合 、権利侵害行為とし法的手段を講じることができます。

        もし商標が登録されていない場合は、登録商標侵害に比べて立証が極めて難しい、一般法の
        模造品訴訟を通して権利侵害行為を証明しなければならないことに留意が必要です。

        香港での商標登録の流れ:

        1. ミーティング・区分の確認(1週間)
          登録を希望される商品名・商品・サービス内容と区分につき確認・協議します
        2. 商標の事前確認(2週間)
          申請内容が決まり次第、事前調査を行います。
        3. 商標の申請(6~8ヵ月)
          事前調査で問題がないことを確認し、申請手続きを開始します。
        4. 商標登録
          登録証書をお送りします。

        startupHKでの商標登録サポート費用

        事前調査費用:

        1,800香港ドル / 1区分 / 1商標
        (追加区分調査:800香港ドル / 1区分 / 1商標)

        商標の申請費用:

        5,800香港ドル / 1区分 / 1商標
        (追加区分申請:2,800香港ドル / 1区分 / 1商標)
        ※印紙税や証書などの政府費用が含まれます。

        申請中の香港特許庁からの質問等があった場合は、別途費用にて回答書を作成します。
        中国本土での商標登録がご入用の場合は別途お見積りします。

        区分は全部で45区分に分かれています。商品34区分、サービス11区分となり、必要なものをすべて申請する必要があります。

        登録商標に関するお問い合わせ

        興味の有る方は以下のフォームからお問い合わせ下さい。

          【香港税務アップデート】研究開発は損金算入が寛大な香港で!

          香港の公認会計士のケンです。今日は香港の立法府で議論されている研究開発費の実際かかった金額の3倍を損金算入できる修正税務条例をご説明します。

          研究開発(R&D)は損金算入

          香港では、要件を満たした研究開発費は発生年度において、全額損金算入が認められています。それに加え、より厳しい要件を満たした研究開発費については、最大で実際に要した費用の300%(3倍)を損金算入することを認める、修正税務条例が2018年5月4日から立法会(香港の立法府)で審議入りし、可決されれば2018年4月1日以降の研究開発費に遡及的に適用されます。

          香港での研究開発費の損金算入

          Type A Type B
          損金算入額 100% 最初の200万香港ドル:300%
          それ以降:200%
          研究開発活動 ・自然や科学分野の知識を拡大させる活動
          ・科学や技術に関する新たな知識を獲得するための研究
          ・新しい商品、プロセスやサービスへの研究成果の適用
          フィーサビリティースタディ、市場・ビジネス・マネージメントに関する分析 左記は含まれない
          研究開発活動の場所 香港内外 香港内のみ
          研究開発費用(社内) 資本性の支出も含めた研究開発費(Type B以外の支出) 研究開発に係る直接人件費
          研究開発に係る直接消耗品費
          研究開発費用(社外) 香港の適格研究団体
          適格研究団体に指定されていない大学等 左記は含まれない
          損金不算入項目 ・研究開発活動に関する権利獲得のための支出
          ・土地や建物への支出
          ・政府やその他から支援された研究開発費用
          ・研究開発費用の損金算入だけを目的とした支出

          上記の表は、従来の研究開発費用をType A、新たに修正条例で追加規定された研究開発費をType Bとして、それぞれにつき損金算入額とその要件をまとめたものです。

          新たに提案されたType Bは、香港内での研究開発を促進し、国際競争力を高めることを目的に、香港内で発生した研究開発に係る直接人件費・消耗品費に支出を限定することで、最大で実際に要した費用の300%(3倍)を損金算入することを認める制度になっています。

          香港居住者にはお得なFX取引(金融取引)の利益に係る税金

          香港公認会計士のケンです。今日は香港におけるFXの利益にかかる税金について解説します。

          香港税制とFXの利益に関する税金

          香港の税制の特徴は、下記の3点になります。

          • 低税率
          • 源泉地主義
          • キャピタルゲイン非課税

          この特徴については以下の記事で詳しくまとめています。よければご参照ください。

          https://startuphk.jp/profits-tax/

          金融取引についても、上記の3点が適用されるため、金融取引が事業ではない場合はキャピタルゲインとなり非課税になります。

          反対に、事業と認定されその源泉地(取引地)が香港であるとしても税率は16.5%もしくは15%ですので、低税率の恩恵を享受することができます。

          居住ステータスで変わるFXの利益にかかる税金

          個人と法人で、日本との関わりにより、香港でのFX取引を含めた金融取引に係る香港と日本の税金をまとめてみました。

          個人:(香港居住者) 香港法人:
          (日本法人との資本関係なし)
          個人:(日本居住者) 香港法人:
          (日本法人の子会社)
          金融取引所得
          例:FX、株式
          香港:課税なし
          日本:課税なし
          (香港居住者はキャピタルゲイン非課税)
          香港:課税なし
          日本:課税なし
          (香港法人はキャピタルゲイン非課税)
          事業は非金融事業
          香港:課税なし
          日本:課税あり
          (日本居住者は全世界課税)
          香港:課税なし
          日本:課税あり
          (日本法人の所得と合算)事業は非金融事業を専らとし、日本のタックスヘイブン税制適用除外会社

          個人・法人とも税務上日本との関わりがない場合、金融取引の利益は日本・香港とも非課税です。

          FXや株式の金融取引を事業としていないため、事業でない取引から稼得される利益はキャピタルゲインとなり香港で非課税になります。ただし損失が出た場合でも繰越欠損金にはならないので留意が必要です。

          また仮に、大掛かりなITシステムや会社と同様の機構を導入し、膨大な数の金融取引をシステマティックに行い事業とみなされた場合でも、日本の法人税率より低い16.5%(法人)、15%(個人事業)の税率が適用され、損失は欠損金に繰り入れられます。

          一方、個人・法人とも税務上日本と関わりあるケースでは、個人の日本居住者であれば、例えば、香港の金融機関のオンライン取引を通じて利益を稼得すると、香港での取り扱いは上記の香港居住者と変わりませんが、日本で課税されます。これは個人の日本居住者(日本人のような永住者)に対して、日本は全世界課税を適用しているためです。

          株式20%(所得税15%・住民税5%)の申告分離課税、FXについては総合課税で雑所得に分類され他の所得と合算され累進課税が適用されます。

          一方、日本国内FXの場合でしたら20%の申告分離課税ですが、海外FXの場合は雑所得に分類され、所得に応じた税率が適用されることに留意が必要です。

          日本法人の子会社である香港法人は、香港での取り扱いは上記の香港法人と変わりませんが、個人の日本居住者と同様、日本で課税されます。平成29年度の税制改正により、例え香港法人に実体があり、日本のタックスヘイブン税制適用除外を受けていても、事業とは関わりのない金融取引(FXや株式)の利益は受動的所得として、日本法人の所得と合算して法人税が課されるためです。

          というわけで、個人の香港居住者はFXでもキャピタルゲイン非課税の恩恵を受けることがおわかりいただけたかと思います。もしご質問などあればお気軽にお問い合わせ下さいね!

          香港進出形態を総まとめで説明します【法人・支店・駐在員事務所】

          こんにちは。香港公認会計士のケンです。ビジネスで香港に進出しようと考えた時、進出形態として最もポピュラーなのは法人設立です。ただ、その他にも支店や駐在員事務所という形態でも香港進出が可能です。今回は法人形態ごとのメリット・デメリットについてご説明しますね。

          香港進出形態のまとめ

          法人 支店 駐在員事務所
          営業活動 不可(結果として、行った場合は日本法人のPEとして香港で課税)
          事業所得税申告 必要 必要 課税所得は原則発生しない。数年に一度、申告書の提出が必要
          会計監査 必要 不要 不要
          会社登記 必要 必要 原則不要
          事業登録 必要 必要 必要
          年次報告 必要 必要(本社決算書も提出) 不要
          取締役 1名以上 日本本社と同一 日本本社と同一
          日本での法人税 課税なし(日本本社はタックス・ヘイブン対策税制の規定) 本店所得に合算して申告(香港支払税金につき、外国税額控除適用可) 本店所得に合算して申告
          本社との損益通算 不可
          就労ビザの発行

          上記の表は、事業上の主要項目について法人・支店・駐在員事務所の取り扱いをまとめたものです。営業活動は法人及び支店にのみ認められています。

          しかし実務上は駐在員事務所で営業活動を行っている例が散見されます。これは法令違反であるとともに、日本法人のPermanent Establishment(PE)として、当該PEから生じる香港源泉所得に対し事業所得税が課される可能性があるので留意が必要です。

          香港と日本のPEは以前書いた以下の記事を参考にしてください。

          https://startuphk.jp/pe-hkjp/

          法人・支店は営業活動が許容されるため事業所得税の申告が必要になります。法人の場合は、香港の会計士による会計監査に基づき発行される監査報告書を、事業所得税申告書に添付することが義務付けられています。支店の場合は会計監査・監査報告書は必要ありませんが、信頼性をもって事業所得税申告が出来るよう支店の会計を整備しなければなりません。

          会社登記・事業登録については、駐在員事務所のみ両方必要ありません。

          駐在員事務所は日本本社の登記書類の英訳をもって、税務局(IRD)のBusiness Registrationの窓口で通常の商業登録します。つまり、香港法人ならCertificate of Incorporationを持っていかないといけないところを、日本本社の登記書類の英訳をもってBusiness Registrationするということです。

          https://startuphk.jp/setup-7-step/

          会社登記を行っていないため、駐在員事務所は年次報告も必要ありません。

          https://startuphk.jp/annualreturn/

          その他、支店駐在員事務所はあくまで日本法人の出先機関ですので、取締役は日本本社と同一になりますが、香港法人には最低一人の取締役が必要となります。

          香港法人は日本法人とは別法人になるため、日本本社と香港子会社との損益通算を行うことはできません。

          子会社である香港法人に実体がないと認定された場合は、日本のタックスヘイブン対策税制に基づき、香港法人の所得を日本本社の所得と合算し、日本でも課税される可能性があるので留意が必要です。

          香港に法人を持つ場合の形態はそのメリット・デメリットを考えて、選ぶことが必要です。もし気になることがあれば、お問い合わせ下さい。少しでも多くの日本企業が香港で活躍することを心から願っています。

          海外IPO購入、香港での購入方法

          こんにちは。私は香港でIPOに2度ほど参加しました。香港のIPOは大型上場も沢山あり面白い企業が多いです。海外IPO購入について説明しますね。

          海外IPO購入とは


          海外のIPO(新規公開株式)購入では、上場する企業が売り出す株式を私たち個人投資家が一定の決められた値段で買うことができます。香港の香港証券取引所は中国企業やアジア市場で知名度を上げたい欧米企業がIPOを行っており、2017年は174社がメインボード(東証一部みたいなものと考えて下さい)に上場しています。

          2018年もスマートフォンメーカー大手の小米など大型IPOが予定されています。2019年もアリババの香港上場などが予定されています。

          海外IPO購入の手順

          まずは新規上場企業の目論見書をみましょう。

          HSBCではログインの必要などもなく、香港のIPO情報を公開しています。
          https://www.personal.hsbc.com.hk/1/2/hk/investments/ipo

          ちなみにログインすることで、香港証券取引所(HKEX)の新規公開下部の目論見書へのリンクが見られるようになります。

          ただ、香港のBOOM証券では
          http://www.boom.com/en/ipo/
          からPDFで目論見書を見られるので、こちらの方が利便性高いですね。

          HSBCの口座があれば、ログイン後、My Investments>IPOs & IPO loansから申込することができます。さらには、IPOを沢山買うためのIPOローンを組むこともできます。

          IPOの公募期間終了後、後日SMSで購入できた株数が連絡来ます。希望者が多い場合は希望数を購入できない場合があります。

          香港IPOの購入には、やはりHSBC口座が便利なのは間違いないので、HSBC口座開設に関する以下の記事も読んで見て下さい。

          https://startuphk.jp/hsbc/

          もし、何かお問い合わせあれば、お気軽にどうぞ!

          【香港税務】ロイヤルティにかかる税金は特別扱い

          こんにちは。私は香港の公認会計士として10年以上働いています。

          日本法人が有する知的財産(特許権・意匠権・商標権・著作権・製造ノウハウ等)の香港での使用の対価として、香港法人から日本法人へロイヤルティを支払うことがあります。

          このロイヤルティについては、受取人である日本法人の香港での事業実態により、ロイヤルティ額の16.5%もしくは4.95%が日本法人に課され、香港法人が日本法人の代わりに納付します。

          香港におけるロイヤルティ収入の取り扱い

          ロイヤルティとは特定の権利を利用する利用者が、権利を持つ者に支払う対価のことで、特定の権利には特許権意匠権商標権著作権製造ノウハウ等の知的財産権が含まれます。

          一方、香港の税金は所得に対し源泉地主義が採用されており、香港源泉の所得のみ香港で課税されますので、香港で事業を行っていない日本法人が保有する知的財産から生じるロイヤルティ収入は、その源泉が香港外(日本)にあるため、厳密には香港では課税されないことになりますが、Section15(1)(a), (b)及び(ba)により所得と規定することで課税を行っています

          源泉地主義については以下も読んでみてください!

          https://startuphk.jp/profits-tax/

          通常、非居住者である日本法人が香港の使用者から受け取るロイヤルティは、そのうちの30%を所得とみなし、30% × 16.5%(2017/18) = 4.95%が受取額に対し課税されます。

          しかし、株式の過半数保有による支配関係や同一の者に支配されている会社同士というような関連当事者間のロイヤルティに関しては、過去において香港内で対象無形資産の全部または一部を保有していた場合、受取ロイヤルティの全額(100%)がみなし所得とされます。

          この場合、受取人が法人であれば100%×16.5%=16.5%が受取金額に課税されます。これは、香港で生成した無形資産をタックスヘイブンで設立された関連法人に譲渡し、みなし所得を30%とする租税回避行為を防止するためです。

          またこのみなし所得30%の措置は、非居住者のみに適用されれるため、仮に日本法人が香港にPermanent Establishment(関連記事:日本・香港PE)を有し事業を行っている場合は香港源泉所得をみなされ、受取ロイヤルティの全額(100%)がみなし所得となるので留意が必要です。

          日本・香港のPermanent Establishment(PE)は以下で説明しています。

          https://startuphk.jp/pe-hkjp/

          香港法人から日本法人支払われるロイヤルティの課税

          日本法人が香港にPEを有さない場合は、現実的には税金の徴収が難しいため、香港法人がロイヤルティの支払の際に税額相当分を留保し、受取人である日本法人に代わり納税する形で、ロイヤルティの支払者(香港法人)に対して納税義務を課しています。

          具体的には香港法人の事業所得税の申告に併せ、日本法人のみなし課税所得をIRDに申告します。IRDはその申告に基づき、香港法人に対し日本法人のための申告書を発行し、香港法人が申告書を提出した後、IRDが賦課通知書を発行し、最終的に香港法人が支払留保分を納付します。

          日本・香港租税条約に基づくロイヤルティの制限税率

          みなし所得 香港租税条例 日本・香港租税条約
          100% 16.5% 5%
          30% 4.95% 4.95%

          日本・香港間では租税条約が締結されているため、香港租税条例より租税条約が優先して適用されますが、香港租税条例が租税条約の税率より低い場合、香港租税条例が適用されます。

          日本法人は、受取ロイヤルティを課税所得に算入し、日本で法人税を申告・納付することになるため、 香港でのロイヤルティ税との二重課税が生じます。その二重課税を回避するためには、日本法人の法人税申告に際し、外国税額控除を申請します。ただし香港の国内法の税率によって課税を受け、租税条約の限度税率を超える部分には、外国税額控除の適用は認められません(法人税法施行令142の2⑧五)。

          最後の方、少し複雑になりましたが理解いただけましたか?なにかご質問などあれば、お気軽にご質問下さいね。